第14章 原子力関係科学技術者の養成およびその他の活動

§2 原子力知識の普及活動

 昭和46年度における原子力知識の普及活動は,主として科学技術週間および「原子力の日」の行事を中心に行なわれた。
 46年度の科学技術週間は4月12日(月)から18日(8)まで開催され,この期間中に日本原子力研究所(原研),動力炉・核燃料開発事業団(動燃事業団),放射線医学総合研究所(放医研)等の諸施設が一般に公開されたほか,各地で講演会,映画会等が催された。
 10月26日の第8回「原子力の日」の記念行事については,この日を中心に全国各地で多彩な行事が行なわれた。東京においては科学技術庁,通商産業省,運輸省,日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団,日本原子力船開発事業団,日本原子力産業会議および日本原子力文化振興財団の原子力広報連絡協議会を構成する8機関主催により,「原子力の日の集い」が開催されたほか,全国各地において映画会,講演会,原子力発電所見学会等が行なわれた。また,原子力広報連絡協議会を構成する8機関は,「原子力の日」記念行事の一環として文部省の後援を得て,全国の高校生を対象として「原子力の日記念ポスター」を募集した。この結果,各地の高校生から273点の応募があり審査の結果13点が入選し,うち3点が優秀作品として,10月26日虎の門久保ホールにおいて行なわれた「原子力の日の集い」において科学技術庁長官賞の授与式が行なわれた。なお,最優秀作品1点はポスターとして全国的に掲示された。
 さらに科学技術庁は関係機関の協力を得て,次代を担う若い世代に原子力に関する正しい知識を普及させるため,中,高校の教職員を対象として「原子力セミナー」を年2回行なうとともに,理科担当教員を対象として放射線に関する講義と実験を内容とした「原子力実験セミナー」を年1回行なっている。46年度には「原子力セミナー」は7月に大分市で第21回を,8月に岐阜市で第22回を実施し,受講者は両回合計180名であった。第4回「原子力実験セミナー」は47年3月,化学,生物系を中心とするAコースを放医研で,物理,化学系を中心とするBコースを原研で実施し,受講者は51名であった。
 このほか,福井県および関係機関は原子力発電所が集中すると予想される福井県若狭地区に,地域住民の原子力に関する知識の普及と正しい理解を得るため,福井原子力センターを設置した。また,科学技術庁原子力局および原研は従来から原子力平和利用に関する映画を製作してきたが,46年度には原子力の安全性および環境の保全について解説した「青空と海―放射能を管理する」を作成した。46年度までに作成されたわが国の主な原子力関係の映画は(付録IV-9)に示すとおりである。
 原子力開発を円滑に進めるためには,地方公共団体との連絡を密にし,適切な情報を提供することが必要であり,このため,昭和46年7月から原子力局の監修で「原子力特報」が日本原子力文化振興財団から発行されている。


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