第13章 保障措置

§4保障措置に関する研究開発

1 技術開発小委員会の設置
 NPTに基づくIAEA保障措置の適切な実施方法および技術的諸問題について,昭和45年3月より,保障措置検討会において審議検討をしてきたが,昭和46年4月保障措置モデル協定がIAEA理事会で承認されるに至り新しい情勢に対処するため同検討会を改組するとともに,同検討会に技術開発小委員会を設け,保障措置の技術開発に関する諸問題について検討を進めることにした。
 同小委は同年10月審議の結果を報告し今後4〜5年間に研究開発を必要とする課題として,核物質計量管理と保障措置実施の合理化および情報処理に関する試験研究等システムズ・アナリシスに関するもの並びに保障措置の関連機器の研究開発を選定し,その成果についてはIAEA等の理解を深める必要があるとした。

2 保障措置関連の技術開発の推進
 原子力平和利用研究委託費を通じて合理的,効率的な保障措置制度の確立に資するための保障措置技術の開発が行なわれている。
 昭和46年度においては,「高濃縮ウランの計量管理に関する試験研究」「核熱料加工施設の最適査察方式に関する研究」等を継続して実施するとともに,「核分裂中性子測定法による核分裂性物質の非破壊分析法に関する試験研究」その他を新たに開始した。
 日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団においては,燃焼率測定に関する研究,核物質管理システムへの電子計算機の応用などを中心とした研究が進められ,所期の成果をあげた。

3 保障措置技術に関する国際協力
 昭和45年3月の日米原子力会議において,保障措置技術に関する日米協力が合意され,これに基づき昭和46年10月米国で第1回日米技術協力会議が開催され,保障措置のための計量管理の原則と実際,化学分析の標準化等の議題について討議がなされた。
 IAEAは,46年10月査察技術ワーキンググループの会議,47年3月フィジカルプロテクションに関するパネルを開催し,わが国からも参加した。また,IAEAから保障措置査察局ロペスメンチェロ開発部長はじめ同部幹部職員が来日して,わが国の関係者との間で,保障措置技術の開発について意見交換を行なったほか,原研,動燃との間で研究開発契約を締結した。


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