第13章 保障措置

§3 保障措置の実施状況

 わが国に対するIAEAの保障措置の適用は,日米等2国間の原子力平和利用協力協定と,これに基づく保障措置移管協定並びにわが国とIAEAとの計画協定に基づいて実施されているが,その主要な実施手続は,
① 設計資料の提出
 IAEAは,保障措置が効果的に実施できるかどうか検討するため設計審査を実施するもので,このため国は原子炉,加工施設等に関する設計概要を説明する資料をIAEAに提供する。
② 記録の保持
 核物質の計量管理と施設の運転に関する記録要件をIAEAと協議し,国は施設に対し保持を求める。
③ 報告書の提出
 核物質の受入れ,払出し,在庫を示す報告書および施設の運転状況を示す報告書を国はIAEAに提出する。
④ 査察の受入れ
 IAEA査察員は各施設に立入り,記録および報告の検証,実在庫の確認を行なう。この際,国は必ず職員を同行させ立合う。
 などである。
 最近における核物質の量および原子力施設の増加は著しく,これに伴い核物質管理および保障措置に関する業務も著しく増加している。
 査察についてみると,(第13-2表)に示すように昭和46年には,9回のIAEA査察があり,延べ査察施設数147,延べ査察業務量は,324人・日に達しており,このように査察が増加したのは昭和45年敦賀発電所,昭和46年福島発電所および美浜発電所の運転開始に伴う定期検査によるものである。
 かかる情勢のもとで,わが国としても保障措置業務の合理化,効率化のため,施設に応じた最適の保障措置システムの確立,保障措置技術の開発等を行なうことが強く要請されることとなった。
 昭和47年4月,「財団法人核物質管理センダー」が設立され,政府および原子力関係事業者の核物質管理業務に対する協力,保障措置に関する技術の開発,関係専門家の養成および核物質管理に関する知識の普及啓発その他の事業を行なうことになった。


目次へ          第13章 第4節へ