第13章 保障措置

§1 概要

 わが国における原子力の研究,開発および利用は原子力基本法の中で,平和目的のみに限ることと規定されており,さらに,この基本法の精神にのっとり核原料物質,核燃料物質および原子炉の規制に関する法律等に基づき,核物質,原子力施設等の管理が行なわれている。
 また,わが国は,外国から核物質等の原子力資材を入手するにあたっては,これらを軍事目的に転用しないことを約束し,これが遵守されていることを確認するための国際原子力機関(IAEA)による保障措置を受け入れている。
 最近の原子力開発利用の著しい進展を反映し,わが国に対する保障措置の適用は急速に増加しておりこのため最適の核物質計量管理システムの開発,保障措置技術の開発等により保障措置適用の合理化,効率化を図ることが,各方面から強く要請されている。
 一方,昭和45年3月核兵器不拡散条約(NPT)の発効以来,この条約にもとづく保障措置に関する問題がクローズアップされていたが,この保障措置の適用が将来のわが国の原子力平和利用を,阻害することのないようにとの観点からIAEA保障措置委員会等において,新しい保障措置の適用方法について積極的に主張を行ないIAEAをはじめ参加各国の理解を得た。
 上記保障措置委員会は,昭和45年6月よりNPT締約国である非核兵器国がIAEAとの間に結ぶ保障措置協定に盛り込むべき事項について検討を進めていたが,その報告であるいわゆる保障措置モデル協定は,昭和46年4月に至り最終的にIAEA理事会で承認され,IAEA事務局は,これにもとづき各国との交渉を開始した。


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