第12章 国際協力
§2 国際機関との協力

4 国連科学委員会(UNSCEAR)

 国際連合原子放射線の影響に関する科学委員会(国連科学委員会,UNSC EAR)は,1955年12月の第10回国連総会の決議により設立され,1956年に第1回委員会が開催されて以来,毎年1~2回開催されてきた。本委員会に対する国連総会の付託事項は,国連加盟国または専門機関加盟国から提供されるつぎのような資料,すなわち①環境における電離放射線と放射能の観測されたレベルに関する報告②人とその環境に対する電離放射線の影響に関する科学的観察で各国の科学研究機関や政府関関によりすでに着手されているもの,または予定されているものに関する報告等を受理し,これらを適切で有用な形にまとめ国連総会に報告することなどである。
 第21回国連科学委員会は,1971年6月14日から28日まで15か国の政府代表,同代理,助言者ならびにILO,FAO,WHO,IAEA等国連専門機関の代表およびICRP,ICRUの代表等の参加のもとにニューヨークの国連本部で開催された。わが国からは,政府代表として放射線医学総合研究所長御園生圭輔のほか政府代表代理2名,助言者1名の計4名が参加した。会議は,放射線による遺伝的影響,発がん,免疫反応,医療上の被ばく,職業上の被ばく,環境放射能による被ばくの6つ問題を討議し,これらを第27回国連総会への報告に含めることなどを決定し,第26回国連総会に対する年次報告書を作成した。この報告書は,1971年10月31日から15日まで国連総会特別政治委員会で審議され,その際,が国は科学委員会がその作業を継続し,原子力平和利用の影響評価のための資料提出ならびに1972年6月9ストックホルムで開催予定の国連人間環境会議のため,その経験活用を一層要請する19か国共同決議案作成に参加し,この決議案は1971年11月29日の国連総会で採択された。
 第22回国連科学委員会は,1972年3月13日から24日まで前回と同じメンバーによりニューヨークの国連本部で開催された。この会議は,第20回国連科学委員会以来3回にわたって討議されてきた前述の各検討項目に対する最終的討議を行ない,第27回国連総会に対する1972年報告書を作成した。


目次へ          第12章 第3節へ