第12章 国際協力
§2 国際機関との協力

3 欧州原子力機関(ENEA)

 わが国は,1965年に準加盟し,その各種事業に参加協力してきた。
 最近ENEAは,加盟国の範囲をOECDなみに拡大するとともに,その活動分野を拡充する方針を出し,わが国としても,実用段階に入ったわが国の原子力の平和利用推進の上でENEAの諸活動に積極的に参加することは極めて有意義であると考え,正式加盟国となった。
 ENEAは,沸騰重水炉開発計画(パルデン計画),高温ガス冷却炉開発計画(ドラゴン計画)等の共同事業,共同研究,科学協力,規則および管理に関する共同規準の作成,経済性調査等の活動を行なっているが,わが国からはパルデン計画に原研が,サクレーにある中性子データ編集センターおよびイスプラの計算機プログラムライブラリーに政府が参加しており,有益な情報を入手している。また,IAEA,FAOの協力の下にすすめられている新国際食品照射計画に政府として参加しているほか,ENEA主催の各種研究委員会,スダディグループ等において積極的に活動している。
 原子力船の運航者の責任に関するブラッセル条約が未発効である現在,原子力船の寄港のための二国間協定の締結を容易にするため,ENEAは,原子力船運航にあたってのモデル協定を作成することを目的として,原子力分野における第三者責任に関する政府専門家会議においてワーキングパーティを設けて検討しているが,1971年3月に引き続いて同年6月および1972年2月パリに於いて同パーティーが開かれ,わが国からも専門家が出席した。
 過去3回の会議を通じて,本モデル協定には,原子力船運航者への責任集中,損害賠償範囲および限度額,寄港にあたっての手続,裁判管轄等について規定することが合意されており,本モデル協定が成立すれば,原子力船寄港のための二国間協定の締結が容易になると考えられる。


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