第12章 国際協力

§1 概要

 わが国の原子力開発利用を進めるにあたっては,すぐれた原子力技術,核燃料等の入手のために,原子力技術先進国,核燃料供給国等との協力が不可欠である。また,効率的な研究開発を進めるためにもあるいは,保障措置,放射性廃棄物の処理処分等各国共通の課題を国際的に協力して解決していくためにも,情報交換,専門家の交流,共同研究等国際機関を通じての協力および諸外国との多面的な協力が有効である。一方近年,わが国の原子力に関する技術水準の向上に伴い,わが国自身も応分の責務を負う双務的な協力関係が強く望まれており,さらに国際的な責務として,発展途上国に対する原子力分野に関する技術協力が重要な課題となっている。
 このような状況の下に,昭和46年度における原子力開発利用に関する国際協力は,原子力技術に関する協力,核燃料等の入手および低開発国援助を中心に,米,仏,加等との二国間協力および国際原子力機関(IAEA),欧州原子力機関(ENEA),国際連合等を通じての多国間協力によって積極的に進められた。
 まず,原子力技術に関する協力については,昭和46年9月に開催された国際連合主催の第4回原子力平和利用国際会議(通称ジュネーブ会議)において情報,意見の大規模な交換が行なわれ,原子力技術全般の発展の現状,将来の見通しが明らかにされ国際動向を知る上で有意義であった。また,46年9月には,第2回日加原子力会議が,さらに同年11月には第3回日米原子力会議が開催され,それぞれ両国が関心を有する核燃料,原子炉の開発,安全性等の諸テーマについて卒直な意見の交換がなされ今後の一層の相互協力を約した。
 その他,米,英,仏,加等との間には,高速炉,重水炉,材料照射,放射線化学等の分野について,日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団等との間に情報交換,専門家の交流等の相互的な研究協力が進められた。
 IAEAおよびENEAを通じての研究協力も積極的に進められ,とくにENEAについては政策協力を含む西欧先進国との多国間協力を一層進めるため従来の準加盟国から正式加盟国となった。
 核燃料等の確保のための国際協力については,従来の主として米,英,加から日米,日英,日加の各原子力協定に基づいて濃縮ウラン,天然ウラン,プルトニウム等を入手してきたがそれらに加えて,核燃料供給源の多角化を図るため,仏および豪州との間に核燃料の入手を可能にする原子力平和利用協力協定に署名し,国会の承認を得た。また,米国からの日米協定に基づく濃縮ウランの入手については,1973年までに着工する動力用原子炉26基(1762万kw)等に必要な濃縮ウラン335トンの確保のために日米両国政府間で取極を行った。さらに,将来の濃縮ウランの確保を図るために,ウラン濃縮に関する国際共同事業に関して,濃縮技術を保有する米,仏を含めて,多国間および二国間で検討を進めた。
 発展途上国に対する技術協力については,IAEAを通じて,研修生の受入れ等の協力を進めるとともに,二国間でも協力を行なった。


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