第6章 原子力船
§2 建造工事の概要

1 原子力船の建造工事

 原子力船「むつ」は,現在青森県むつ市の定係港において原子炉ぎ装工事中であり,47年度末までには,全ての建造工事および出力上昇試験,海上公試運転等の諸試験を完了する見込みであり,48年4月,原子力船「むつ」は実験航海へ就航の予定である。
 原子力船「むつ」の船体については,43年11月以来石川島播磨重工業(株)東京第2工場において建造が進められていたが,45年4月,原子炉格納容器周辺の2次遮蔽工事のうち,最も工数を要する重コンクリート打設工事を完了した。以後残余の2次遮蔽工事,ぎ装仕上工事,船体搭載補機器の作動試験,船体部試験運転等が進められた結果,45年7月すべての工事を完了して原船事業団に引渡された。
 その後原子力船「むつ」は,青森県むつ市の定係港に補助ボイラにより自力回航され,直ちに原子炉のぎ装工事が開始され,46年1月圧力容器を搭載する等主要機器のほとんどの据付けを完了し,現在は格納容器内部の電線布設,配管,保温材取付け等の据付付帯工事を進めており,46年12月すべてのぎ装工事を完了する予定である。
 また,原子炉ぎ装完了後,原子力船「むつ」は核燃料を装荷しない状態での機能試験を行ない47年6月事業団に引渡されることとなっている。

2 定係港の建設等

 原子力船「むつ」の原子炉ぎ装工事,燃料交換廃棄物処理,その他本船に対する支援業務を行なうための定係港については,42年11月青森県むつ市に定係港の設置が決定して以来,約8万平方メートルの用地を確保して,核燃料交換棟,岸壁およびクレーン,曳船等必要施設の建設工事を進めてきた。
 現在定係港は,原子炉ぎ装工事に必要な施設の建設を既に完了し,原子力船「むつ」のぎ装工事を中心に必要な業務を行なっており,今後,新燃料を搬入する47年1月までに放射線安全管理設備を,核燃料装荷を実施する47年7月までに廃棄物処理施設をそれぞれ完備する予定である。
 このほか,原子力船「むつ」の就航にそなえて乗組員の養成訓練のほか,運航要領の作成,実験航海計画の作成等を進めている。


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