第5章 濃縮ウラン
§3 わが国の濃縮ウラン確保策

 わが国の濃縮ウランの確保は,これまで日米原子力協定に基づき,USAECにウランの濃縮を委託して必要な濃縮ウランを確保することとしてきた。
 日米協定により確保されている濃縮ウラン量は,43年の同協定締結時において,46年までに着工が予定された13基の発電用原子炉(出力合計約700万キロワット)が30年間運転するに必要な濃縮ウラン154トン(U-235換算量)および研究開発用の7トン計161トンである。
 その後,原子力発電所の建設計画が進み,濃縮ウランの必要量が増加したので45年夏,米国政府と交渉した結果新たに48年未までに着工が予定される13基の発電用原子炉(出力合計約1,000万キロワット)に必要な濃縮ウランを追加することが事務的に合意された。
 現在の見通しでは,わが国の濃縮ウラン所要量は,昭和50年には年間約3,000トンSWU,昭和60年には年間約8,000トンSWU程度に達するとみられるが,これだけの量を今後とも日米協定の改訂のみによって確保していくことは,現在の米国の供給力では困難とみられ,米国の今後の努力によりたとえ可能となったとしても,莫大なエネルギー源の供給を長期にわたり米国1国に依存することはわが国のエネルギー政策上好ましいことではない。
 このため,原子力委員会は45年10月濃縮ウラン対策懇談会を設け,濃縮ウランに関する海外の動向を分折し,濃縮ウランの長期安定確保策とこれに関連してウラン濃縮技術開発の推進方策等について審議を行なっている。


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