第4章 核燃料
§4 使用済燃料の再処理

1 使用済燃料の返還

 日本原子力研究所のJRR-2およびJMTRならびに京都大学の原子炉に使用されている90%濃縮ウラン燃料は,米国政府から賃借しておりこれらの炉から取り出ざれた使用済燃料は再処理した上米国政府に返還することになっている。
 このためJRR-2から排出された使用済燃料は45年4月,8月および46年4月の3回にわたりそれぞれ燃料要素24本(ウラン約8キログラム),またJMTRの分については,46年3月,燃料要素40本(ウラン約8キログラム)が米国に返還された。なお,JMTRの燃料取出し,返還はこれが最初である。
 京都大学の分は,45年4月,8月および46年4月の3回にわたり合計51本の燃料要素(ウラン約7キログラム)が返還された。
 一方日本原子力発電(株)は,英国原子力公社との契約による同社東海発電所の使用済燃料の引き渡しを45年5月および10月に行なったが,引き渡し量はそれぞれウラン約30トンおよび約35トンであった。
 なお,再処理のための使用済燃料の輸送は,45年度末までに,原研等の研究炉にかかわるものが米国に16回(原子炉からの排出回数,以下同じ。),原電東海炉のものが英国に4回行なわれたことになる。

2 再処理施設の建設

 動燃事業団では,主に発電用原子炉から出る使用済燃料を対象として,処理能力最大210トン/年のわが国初の再処理施設を同事業団の東海事業所に建設することとしている。
 本計画は,わが国における核燃料サイクル確立の一環として,39年6月に当時の原子燃料公社に建設することが決定されたもので,その後41年12月にフランスのサンゴバン社と詳細設計契約を結び,44年1月に詳細設計が完了した。
 本施設で用いられる処理方法は,ピューレックス法とよばれる湿式の代表的な方式である。
 再処理施設の建設については,米軍の水戸射爆場問題に関連して地元の同意が得られない状況にあったが,44年10月,同射爆場の返還についての見通しがついたので,茨城県議会は設置を了承する旨の意向を表明した。これにより同事業団は昭和49年度操業開始を目途に,46年6月に同施設の建設に着手した。

3 再処理の研究開発

 再処理技術の研究開発については,原研が,湿式法に比して多くの長所をもち,将来に期待がかけられている乾式法,特に,フツ化物揮発法の研究を引き続き行なった。
 また,動燃事業団では,高燃焼度燃料湿式再処理技術の研究を行なったほか,再処理工場で発生する低レベル放射性スラッジのアスファルト固化処理技術の開発研究を,45年度から開始した。


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