第15章 原子力関係予算
§2 主要機関の原子力関係予算

1 日本原子力研究所

 原研の予算額は現金額10,855百万円であり,このうち国庫支出額は10,117百万円である。
 なお,債務負担行為は2,060百万円である。

(1)材料試験炉の建設および運転
 在来型炉の国産化に資するため,材料試験炉施設の運転整備を行なうため,現金額1,351百万円,債務負担行為122百万円が計上された。

(2)動力試験炉の改造
 在来型炉の国産化に資する一環として,動力試験炉の出力を倍増する計画(JPDR-II計画)をひきつづきすすめるため,現金額668百万円が計上された。

(3)原子炉の運転等
 研究用原子炉を活用し,ひきつづき材料試験,遮蔽試験,アイソトープ製造,要員訓練等を行ない,これに必要な整備を行なうため,現金額604百万円,債務負担行為231百万円が計上された。

(4)原子炉等の研究開発
 高速炉の炉物理実験,ナトリウム技術の研究,安全性,燃料等の基礎研究をすすめるとともに,原子力特定総合研究としてガス拡散法によるウラン濃縮の研究開発,および核融合の研究開発をすすめるため,現金1,301百万円が計上された。

(5)放射線化学の研究開発
 高崎研究所において,放射線化学の研究開発を行なうほか,原子力特定総合研究として食品照射の研究開発をすすめるため,共同利用施設の整備をすすめる。このため現金381百万円,債務負担行為64百万円が計上された。

2 動力炉・核燃料開発事業団

 動燃事業団の予算額は,現金額26,418百万円であり,このうち国庫支出額は23,266百万円である。
 なお,債務負担行為は14,869百万円である。

(1)動力炉の開発
 高速増殖炉については,前年度にひきつづき昭和49年臨界を目標に実験炉の建設をすすめる。また原型炉の第1次設計研究をすすめるとともに,ひきつづき炉物理,ナトリウム技術,燃料材料等の研究開発を行ない,また,α-γケーブ,ナトリウムループ等の建設をすすめる。
 新型転換炉については,前年度完了した原型炉の第二次設計研究の調整を行なうとともに,前年度にひきつづき炉物理実験,伝熱流動実験等を行ない,昭和50年臨界を目標に原型炉建設の準備をすすめる。
 これら動力炉開発をすすめるため現金22,769百万円,債務負担行為19,581百万円(うち民間出資分6,475百万円)が計上された。

(2)使用済燃料再処理施設の建設
 49年度使用済燃料再処理施設の操業開始を目標に建設準備をすすめるため現金額1,100百万円,(うち借入金900百万円),債務負担行為13,802百万円が計上された。

(3)核原料物質の探鉱
 国内において探鉱,採鉱および製錬を,また海外において現地調査を行なうため,現金額308百万円が計上された。

(4)核燃料の技術開発等
 原子力特定総合研究として,遠心分離法によるウラン濃縮の研究開発を行なうほか,プルトニウム燃料の製造技術開発等を行なうため,現金額692百万円,債務負担行為36百万円が計上された。

3 日本原子力船開発事業団

 47年度完成を目標として,原子力第1船の建造,陸上付帯施設の建設,乗組員の養成訓練を行なうため,3,096百万円が計上された。
 うち,国庫支出額は2,720百万円であり,債務負担行為は600百万円である。

4 放射線医学総合研究所

 放射線障害の防止に関する基礎研究を行ない,とくに造血器移殖に関する研究をすすめる。また,中性子線等の医学的利用に関する調査研究をすすめるため,サイクロトロン施設の整備に着手する。このため現金額1,097百万円,債務負担行為795百万円が計上ざれた。

5 その他

(1)国立試験研究機関
 放射線の利用,核融合,障害防止等に関する研究をひきつづき行なうため,現金額636百万円が計上された。

(2)原子力平和利用研究の委託
 原子力特定総合研究の推進,原子力施設の安全対策,保障措置技術に関する試験研究等を民間に委託するため,現金額270百万円が計上された。

(3)核燃料物質の借入等
 原研,大学等において原子炉用および研究炉用等に使用される核燃料のうち濃縮ウラン等の借入れ等のため,現金額93百万円,債務負担行為78百万円が計上された。

(4)科学技術者の資質向上
 原子力技術者の海外派遣および国内研修のため,現金額56百万円が計上された。

(5)放射能測定調査研究
 環境,食品,人体等に関する放射能の調査および研究ならびに原子力軍艦の寄港等にともなう放射能調査を強化するため,現金226百万円が計上された。

(6)理化学研究所
 サイクロトンによる研究,核融合の研究等をひきつづき行なうため,現金140百万円が計上された。

(7)原子力発電所立地調査
 原子力発電所の円滑な立地に資するため,新たな地点について地質および気象の現地調査をひきつづき実施することに対し,現金6百万円が計上された。

(8)水戸原子力事務所
 茨城県内の原子力施設の安全確保,放射線監視等をひきつづき行なうため,現金額7百万円が計上された。

(9)原子力委員会,放射線審議会,原子力局
 原子力施設の安全確保,各種調査,国際協力,保障措置関連施策,EN EA共同事業参加等を行なうとともに,原子力開発利用の広報啓発を行なうため,現金額298百万円が計上された。

(10)東海地区原子力施設地帯整備
 茨城県東海村周辺地区について,原子力施設が集中している特殊事情にかんがみ,道路の整備等に必要な経費と,国庫補助額171百万円が計上された。

(11)各省庁行政費
 関係各省が行なう原子力発電所または原子力船に対する規制等に必要な原子力関係行政費は,それぞれ省庁の予算に計上されるが,その総額は現金額262百万円である。


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