第13章 保障措置
§1 経緯

 わが国は,米国,英国およびカナダとの間の原子力平和利用協力協定にもとづき,それぞれの国から入手する核燃料等の原子力資材を軍事目的に転用しないことを約束しており,これが遵守されていることを確認するため供給国側の保障措置を受けることとなっている。
 協力協定にはまた,その保障措置の実施をIAEAに移管することが合意されている。これらの合意に従って,現在日米,日英および日加間の保障措置は,それぞれ,日米IAEA保障措置移管協定,日英IAEA保障措置移管協定および日加IAEA保障措置移管協定により,その実施がIAEAに移管されている。
 45年度における日本に対するIAEAの保障措置実施状況をみると,査察については,延約90施設,延約380人・日の査察業務量にのぼっている。
 一方,45年には「核兵器不拡散条約(NPT)」の発効に伴い,同条約にもとづく保障措置がクローズアップされることとなった。わが国はNPTを批准していないが,NPTにもとづく国際的保障措置制度の適用が将来のわが国の原子力平和利用の進展を阻害しないようにとの観点から,次節に述べるようにIAEAの場等で積極的にわが国の立場について主張を行ない,国際的に理解を深めた。


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