第12章 国際協力
§3 二国間協力

1 米国

 日米原子力協力協定により米国がわが国に供給することを約束している濃縮ウラン量の増量を行なうことについて,45年3月の日米原子力会議において原則的合意に達したが,この合意にもとづき取極締結の交渉を行なった結果,1972年および73年に着工するわが国の原子力発電所13基に必要な濃縮ウランを米国が追加供給することについて事務的合意に達し,日米協定の付表の改正の手続を進めた。
 45年10月12日から1週間にわたって,セラミック系燃料に関する日米研究協力専門家会議が米国において開催され,セラミック系燃料に関する種々の技術情報の交換を行なった。
 以上のほか,動燃事業団と米国原子力委員会との間および原研と米国原子力委員会との間でそれぞれ高速炉および放射線化学に関する技術情報交換を引続き行なうとともに,原子力情報の有効な利用,情報処理技術の向上およびINISへの円滑な移行を促進するため46年4月,原研と米国原子力委員会との間に情報交換に関する覚書を締結した。

2 英国

 45年6月,第2回日英原子力会議が英国において開催され,わが国からは,有沢原子力委員会委員長代理,武藤原子力委員会委員,宗像日本原子力研究所理事長,井上動力炉・核燃料開発事業団理事長ほか8名が参加し,英国側からはJ.ヒル英国原子力公社総裁以下十数名が参加した。会議においては,両国の原子力事情および将来の見通し,新型炉の開発,保健安全,核燃料サイクル,核融合等の幅広い分野にわたって意見の交換が行なわれ,特に高速炉に関する協力を今後一層強化していくことについて意見の一致をみた。
 また日英原子力会議の機会に,従来の原研と英国原子力公社との協定に替わり,新たに原研および動燃と英国原子力公社との間の液体金属冷却高速炉に関する情報交換および協力のための協定の調印を行ない,今後この分野での協力をますます密接にしていくこととなった。

3 フランス

 45年4月に来日してオルトリ産業開発科学研究大臣と西田科学技術庁長官との会談の結果に基づき日仏両国間で原子力平和利用の協力のための協定を締結する交渉が開始された。
 また,動燃と仏原子力庁との間の高速炉協力協定に基づく第2回日仏高速炉会議が45年10月東京において開催されたほか,原研と仏原子力庁との間の放射線化学に関する協力協定に基づき情報交換を引続き行なった。
 さらに,原研は,46年5月フランス原子力庁との間に材料試験炉に関する研究協力協定を締結し,この分野で協力を行なうこととなった。

4 西ドイツ

 動燃とカールスルーエ原子力研究所との間で高速炉分野における技術協力のための協定を締結するための交渉を行なった。

5 カナダ

 グリーン・エネルギー・鉱山・資源大臣が45年12月来日し,西田原子力委員会委員長はじめ原子力委員会の委員とウラン資源の問題を中心に懇談した。また,45年11月にグレイ・カナダ原子力公社総裁が来日し,次回の日加原子力会議の開催について打合せを行なったほか,動燃と重水炉に関する技術情報交換のための協定を締結することについて検討を行なった。

6 その他

 原子力委員会は,45年度海外原子力関係招へい者として,オーストラリア原子力委員会委員長バグスター博士,スイス原子力委員会委員長ホッホシュトラッサー博士,ニューヨーク州立大学教授サドコウィッツ博士等を招へいし,両国の原子力事情,協力の進め方,専門技術的事項につき意見の交換を行なった。
 また,原子力委員会は,第4回原産年次大会(46年3月開催)に出席のため来日したサピアリー米国原子力委員会オークリッジ濃縮工場運営事務所長,フランクリン英国原子力公社生産担当理事,ペッカーフランス原子力庁産業計画担当理事,ホガード・ウルトラ・セントリフュージ・ネザーランド社理事長等と会談し,ウラン濃縮の問題について意見の交換を行なった。
 以上のほか,シュワルツ・オーストラリア国土開発大臣,オールダー・オーストラリア原子力委員会委員,アスピノール米国上下両院原子力合同委員会委員,ルー・南アフリカ共和国原子力委員会委員長,カルデラーレ・イタリア原子力委員会事務局長,スウューデン国会議員団等が来日し,原子力委員会,科学技術庁原子力局等と意見の交換を行なった。
 このほか,45年10月西田科学技術庁長官はスウェーデンのヴイックマン工業大臣の招へいに応じて同国を訪問し,原子力平和利用に関する協力等の問題について意見交換を行なった。
 また,原研は,46年2月1日から3日までゴツトリーブ博士(米国プリンストン大学プラズマ研究所長),ピース博士(英国原子力公社カラム研究所長),大河千弘博士(米国ガルフ・ゼネラル・アトミック研究所核融合研究部長),吉川庄一博士(米国プリンストン大学プラズマ物理研究所)ほか数名の世界の核融合関係のトップレベルの専門家を招へいし,わが国の専門家をまじえて東京において「国際的トーラス討論会」を開催した。


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