第11章 環境放射能対策
§3 米国原子力軍艦の寄港

 米国原子力軍艦のわが国への寄港については,39年11月に原子力潜水艦シードラゴンが佐世保港に初めて寄港して以来,46年4月末まで通算50回(横須賀33回,佐世保17回)をかぞえている。このうち, 43年1月に原子力空母エンタープライズと原子力フリゲート艦トラクストンが同時に,45年3月にはフリゲート艦トラクストンが佐世保港に寄港しており,また,46年3月および4月にフリゲート艦トラクストンが横須賀港に寄港したほかはすべて原子力潜水艦である。

 これら原子力軍艦の寄港に関連して,横須賀,佐世保両港および日本近海の海水,海底土,海産生物について年間4回の定期調査を実施したほか,原子力軍艦出港後,その停泊地点で採取した試料についても放射能調査を行なったが,平常と異なる放射能の値は検出されなかった。
45年度中における原子力軍艦の寄港実績は,横須賀港に11回であり,佐世保港には寄港はなかった。
 原子力軍艦の寄港時には,原子力軍艦放射能調査指針大綱にそって,科学技術庁から現地へ職員の派遣,当該港湾市の市職員および海上保安部の担当者,さらに,当該港湾市の所在する県の希望があれば県職員を加えて,現地調査班を編成して放射能測定を実施している。
 現地調査班の調査内容は,
(1)主要モニタリングポストに調査班員の常駐および3時間毎の各モニタリングポストの巡回
(2)モニタリングボートによる1日1回を原則とする所定の調査コースについての放射能測定の実施
(3)採取海水の波高分析器による指標核種の分析等である。
 また,従来,横須賀,佐世保両港に配置されていたモニタリングボートを45年10月に新造,大型化し(横須賀港「きぬがさ」,佐世保港「さいかい」と命名)塔載している測定器の整備強化を行なったが,これにしたがい,原子力軍艦放射能調査指針大綱の一部を改正した。
 一方,モニタリングポストの放射能測定装置の故障等のトラブルに対処して,移動式の放射能測定装置を両市に各1台配備し,調査の万全を期している。


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