第10章 放射性廃棄物の処理処分
§3 原子力発電所における放射性固体廃棄物処理の現状

 原子力発電所において発生する放射性廃棄物の種類と量ならびにその管理方法は,炉型によってそれぞれ異っているが,ここでは現在,わが国において原子力発電の主流となっている軽水炉について述べることとする。
 軽水炉には,沸騰水型炉(BWR)と加圧水型炉(PWR)があり,それぞれ廃棄物の管理方法も異なっているので,炉型別にその概略を記すと,まずBWRでは原子炉冷却水中に発生する放射性物質を除去するため,運転中は,常時その一部を抽出し,フィルタおよび浄化系脱塩装置によって浄化し,また,タービン駆動後の復水も復水脱塩装置によって浄化した後,原子炉へ再び送られる。フィルタおよび浄化系脱塩装置からの使用済樹脂は,脱水後,貯蔵タンクに貯留される。一方復水脱塩装置のイオン交換樹脂は再生されるので,この再生廃液は蒸発濃縮され,固化される。この固化された濃縮廃液および雑固休はドラム缶に収納されている。つぎに,PWRではBWRと同様に,原子炉一次冷却水は運転中に常時,その一部がバイパス浄化系統へ抽出され,冷却材浄化脱塩装置で浄化されているほか,原子炉の反応度調整のため間歇的に一部を抽出して浄化する処理系統がある。これらの装置および処理系統から使用済樹脂は,脱水後,貯蔵タンクに貯留され,さらに一部イオン交換樹脂の再生廃液は蒸発濃縮され,固化される。この固化された濃縮廃液および雑固体はドラム缶に収納されている。
 現在運転中の原子力発電所における放射性固体廃棄物の処理の現状を図示するとつぎのとおりである。


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