昭和46年版
原 子 力 白 書 昭和46年7月
原子力委員会
はしがき 原子力年報は創刊以来,今回で第15回を迎えました。この間におけるわが国の原子力開発利用は,原子力発電,放射線利用等の実用化が急速に進展するとともに,新型動力炉の開発,原子力第1船の建造のほか,ウラン濃縮,核融合等の研究開発分野でも着実な進展をみております。
とくに昭和45年度には,原子力発電につきましては,福島および美浜の原子力発電所が完成したのをはじめ,多くの原子力発電所が建設に着手され,従来の見通しを大幅に上廻って発電所の建設,計画が進められました。さらに新型動力炉につきましたは,新型転換炉原型炉の建設を開始する段階にいたり,また原子力船「むつ」につきましても,船体工事を終了し日本原子力船開発事業団に引渡される等,原子力開発は一段と進展がみられました。
このような原子力開発利用の進展に対処し,原子力委員会としては,昭和42年に策定した原子力開発利用長期計画の全般について見直しを行ない,同計画を早急に改訂し,安全問題,環境保全問題にも十分意を用いて原子力の開発利用を計画的,効率的に推進する所存であります。
このときに当り,昭和45年度を中心とするわが国の原子力開発利用の動向を顧みることは,きわめて有意義であると考え,ここに第15回原子力年報を公刊する次第であります。
昭和46年7月
国務大臣 原子力委員会委員長 平泉 渉
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