§1 概要

 放射性同位元素(ラジオアイソトープ)や各種放射線を利用する事業所は,医学,農業,工業の各分野において,逐年増加し,昭和45年度末で,総数は2,091となっており,44年度末の1,835に比して14%増加している。放射線利用事業所数の年度推移については(第7-1図)に示す。

 今年度の特徴は,民間企業の伸びが一層大きくなり,医療機関を大幅に上回っていることである。これは特に,工業利用において,品質管理,工程管理等の面で放射線利用についての研究開発が進展し,その利点がより広範に認識されてきたためであるといえよう。
 特に45年度は,放射線滅菌法による医療用具の国内における使用が認可され放射線利用の実用化は大きく前進した。
 このような放射線利用の著るしい実用化への進展とならんで,各分野での研究開発も積極的に推進されているが,特に45年度においては,研究開発基本計画にもとずいて食品照射とくに馬鈴薯の照射に関する研究が進展し,実用化の期待が高まった。
 一方,放射線利用の実用化の進展にともなって,わが国のラジオアイソトープの需要も毎年増加しており,国内でも日本原子力研究所(原研)を中心として需要の多い核種に重点をおきその量産化をはかる一方,海外に依存することの困難な短寿命核種の供給につとめている。そしてさらに新しい需要にこたえるべく新たな核種についても開発を進めている。
45年度のラジオアイソトープの供給状況は(第7-1表),(第7-2表)に示すとおりである。


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