§1 原子力発電所の建設
2原子力発電所の運転,建設状況

昭和46年3月末現在,わが国で稼動している商業用原子炉は4基,総電気出力132万3,000キロワットに達し,建設中の商業用原子炉は9基580万3,000キロワットに達している。
 日本原子力発電(株)の東海発電所(コールダーホール改良型炉,電気出力166,000キロワット)は,わが国最初の原子力発電所で,42年7月以降全出力営業運転に入っており,45年度中の運転時間は7,035.3時間,発電量は9億1,615万キロワット時である。また,同社の敦賀発電所(沸騰水型軽水炉(BWR)電気出力35万7,000キロワット)は,45年3月から営業運転を開始し,45年度中の運転時間は,7,137.6時間,発電量は23億7,140.9万キロワット時となっている。
 東京電力(株)では,福島県双葉町および大熊町に福島原子力発電所の建設を進めているが,同発電所1号炉(BWR,46万キロワット)は,45年7月臨界に達し46年3月26日より営業運転を開始した。
 また同発電所の2号炉(BWR,78万4,000キロワット)についても,43年3月より建設をすすめており,運転開始予定は48年3月である。46年3月末現在の工事進捗率は68%である。1号炉は米国GE社,GETSCO社と一括発注方式で契約したが,2号炉の建設は個別発注方式で行なわれており,原子炉蒸気系統,タービン発電機等主要機器をGE社に,その他付属機器を東京芝浦電気(株)(東芝)に,発電所本館建屋の建設を鹿島建設(株)に,それぞれ発注している。また同発電所の3号炉(BWR,78万4,000キロワット)についても,45年1月その設置が許可されたが,3号炉については,2号炉で修得した経験をもとにして大幅な固産化を図ることとし,現在東芝を主契約者として建設中であり,その工事進捗率は9%である。
 関西電力(株)でも福井県三方郡美浜町に美浜発電所の建設を進めており,1号炉(加圧軽水型炉(PWR),34万キロワット)については原子炉部門を米国ウエスチング・ハウス社(WH)が,発電設備を三菱原子力工業(株)が,それぞれ行ない,45年7月臨界に達し,45年10月より営業運転に入つた。
 また同発電所の2号炉(PWR,50万キロワット)についても43年5月から三菱原子力工業(株)と一括発注方式による契約で,47年6月運転開始を目標にその建設が進められており,46年3月末の工事進捗率は51.2%である。
 さらに関西電力(株)では,福井県大飯郡高浜町に高浜発電所を建設中であり,1号炉(PWR82万6,000キロワット)は44年12月建設に着手し,49年8月の運転開始を目標として,現在建設工事が進められている。同炉は原子炉設備を米国WH社が,発電設備を三菱原子力工業(株)がそれぞれ建設しており,46年3月末の工事進渉率は12%である。
 また同発電所の2号炉(PWR,82万6,000キロワット)は,45年11月その設置が許可され,三菱重工業(株)との一括発注方式による契約でその建設に着手し,50年10月運転開始を目標としている。機器の国産化率は89%である。
 中国電力(株)では島根県八束郡鹿島町に島根原子力発電所の建設を進めており,1号炉(BWR,46万キロワット)は,44年10月より建設に着手している。同炉の主契約者は(株)日立製作所(日立)で,これまでのBWR建設の経験を生かし,国産化率は90%に達している。46年3月末現在の工事進捗率は43%であり,48年11月運転開始をめざしている。
 九州電力(株)でも佐賀県東松浦郡玄海町に,玄海発電所(PWR,55万9,000キロワット)の建設準備を進めていたが,45年12月原子炉の設置が許可され,現在,その建設工事が本格的に進められている。同発電所の主たる契約者は三菱重工業(株)で,50年7月完成をめざしている。
 また中部電力(株)では,静岡県小笠郡浜岡町に浜岡原子力発電所(BWR,54万キロワット)の建設を備準していたが,45年12月その設置が許可され,49年11月運転開始を目標に,原子炉関係を東芝とタービン関係を日立とそれぞれ契約して46年5月本格的建設に入った。
 東北電力(株)では,宮城県牡鹿郡女川町および牡鹿町に女川原子力発電所(PWR,52万4,000キロワット)の建設を準備していたが,45年12月その設置が許可され,現在用地整備,漁業交渉等が行なわれている。このように原子力発電所の建設は増加の一途をたどっており,46年3月末の運転中および建設中の発電用原子炉は13基,712万6,000キロワットに達し,原子力委員会が42年度に改定した長期計画50年度末600万キロワット,60年度末3,000〜4,000万キロワットの運転規模を上回るすう勢にある。原子力発電所の一覧を(第3-1表)に示す。


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