II原子力委員会の計画および方針

3サイクロトロンによる中性子線医用懇談会の設置について

(昭和44年5月9日原子力委員会了承

1設置の目的
 がんの放射線治療には従来,主としてエックス線,ガンマ線等が用いられていたが,がん細胞の中に含まれている無酸素細胞の抵抗力が強いため効果が限定されていた。これに比して高エネルギー中性子線照射治療は効果をより確実にし,適用範囲をより広くするものとして有望視されてきた。
 諸外国においてもサイクロトロンを用いて各種の基礎実験を積み重ねており,ここ1〜2年のうちに臨床応用へ進む見通しであり,世界的に,がん治療に重要な役割を占めるものと判断される。
 以上のような情勢にかんがみ,わが国においても早急に医用サイクロトロンによる研究を実施することについて,関係有識者の意見を聴取するため,中性子線医用懇談会を設置することとずる。
2審議事項
(1)海外における研究の状況について
(2)国内における研究の現状と将来について
3審議期間
 懇談会は5月に設置し,1ヵ月程度で一応の審議を終了することを目標とする。
4構成員(敬称略,アイウエオ順)
座長武藤 俊之助 原子力委員会委員
足立 忠東京医科歯科大学教授(放射線医学)
石館 守三国立衛生試験所長(薬学)
筧 弘毅千葉大学教授(放射線医学)
熊谷 寛夫東京大学教授(物理)
佐野 圭司東京大学教授(医)
篠原 健一早稲田大学教授(物理)
田中 茂放医研臨床研究部長(放射線医学)
塚本 憲甫国立がんセンター病院長(〃)
律屋 旭癌研究会病院放射線科部長(放射線医学)
都甲 泰正東京大学教授(原子炉)
橋詰 雅放医研物理研究部長(物理)
馬場 治賢国立療養所中野病院長(医)
宮川 正東京大学教授(放射線医学)
御園生 圭輔 放医研所長(〃)
山崎 文男原研理事(物理)
湯沢 信治厚生省大臣官房参事官
笠木 三郎文部省大学学術局研究助成課長
田中 好雄科学技術庁原子力局次長


目次へ      2.4サイクロトロンによる中性子線医用懇談会報告へ