§6 関連施策

  1地帯整備

 原子力委員会は,東海地区の原子力施設地帯整備の問題について37年以来検討を重ね,40年8月「東海地区原子力施設の地帯整備について」として,その実施のための基本方針を決定した。
 この決定により,総事業費約18億円により45年度までに完了することを目途に,整備事業として道路の整備,緑地の確保,広報施設の整備を実施することにしている。
 この決定にもとづき44年度は前年度にひきつづき,東海村街路3本,日立市街路1本,勝田市街路1本のほか国道について整備が進められ,その事業費(約387百万円)については,道路整備特別会計を通じて国から約260百万円が補助された。
  2防災業務計画の推進

 原子力施設については,原子炉等規制法および放射線障害防止法等による種々の規制により安全確保が図られているが,一方,不測の事態による原子炉等原子力施設からの放射性物質の大量放出にともなう放射線災害に備えるため,原子力関係機関および,関係都道府県は,災害対策基本法にもとづき,「放射性物質の大量放出」に関する防災計画を作成することとなっている。
 この災害対策基本法にもとづいて現在までに作成されている原子力関係の防災計画は(第9-2表)のとおりである。なお,茨城県については同法第40条にもとづいて,事故発生時における連絡方法およびモニタリング計画の内容の一部を修正したものである。44年度においては,新たに福井県から,原子力防災対策計画が提出された。

  3原子力損害の賠償

 原子力損害の賠償に関しては,「原子力損害の賠償に関する法律」および「原子力損害賠償補償契約に関する法律」の2つの法律が昭和36年6月17日に公布され,昭和37年3月15日から施行されている。これらの法律に基づき原子力事業者は,原子炉の運転等を行なう場合,原子力損害を賠償するための措置(政府との原子力損害補償契約およぴ保険会社との原子力損害賠償責任保険契約の締結,または供託)を講じ,科学技術庁長官の承認を受けなければならないことになっている。承認を受けた損害賠償措置の年度別件数は(第9-3表)のとおりであるが,法施行後原子力損害が発生して,これら損害賠償措置から保険金が支払われた例は,44年度中に1件(約8万円)あったのみである。
 なお,原子力損害賠償制度の発足後すでに約8年を経過しており,その後の内外の事情の変化に対処するため,44年10月23日,原子力委員会に「原子力損害賠償制度検討専門部会」が設置され,「現行原子力損害賠償制度につき改善を要する諸点および改善方策」について検討が進められている。

  4国家試験

 原子炉等規制法によれば原子炉設置者は,原子炉の運転に関して保安上の監督を行なわせるため原子炉主任技術者免状を有する者のうちから,原子炉主任技術者を選任することが義務づけられている。また,同法により核燃料の加工事業に関する者は,その保安上の監督を行なわせるため,核燃料取扱主任者を置かなければならない。
 一方,放射性同位元素の使用者,販売業者および廃棄業者,ならびに放射線発生装置の使用者は,放射線障害防止法にもとづき,第1種または第2種放射線取扱主任者免状を有するもののなかから放射線取扱主任者を選任し,放射線障害防止について監督を行なわせることになっている。
 昭和44年度においても,原子炉主任技術者については第11回口答試験および第12回筆記試験が行なわれ,核燃料取扱主任者については第2回目の試験が,また放射線取扱主任者試験については,第14回第1種放射線取扱主任者試験および第11回第2種放射線取扱主任者試験がそれぞれ行なわれた。受験者数,合格者数等については(第9-4表)に示すとおりである。


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