§5 放射性廃棄物の処理,処分

  1放射性廃棄物の回収および処理

 放射性廃棄物は,25年から34年頃までは,その量も少なく,このため,回収機関もなく,各利用者が各自貯蔵保管を行なっていた。その後放射性同位元素の利用をはじめ,原子力開発利用全般の進展に伴い,放射性廃棄物の量は年々増加し,各事業所での貯蔵保管は困難となってきた。
 このため,科学技術庁は,34年度から,日本放射性同位元素協会(放同協)が行なう原研以外の事業所からの放射性廃棄物回収事業に対し,補助金の交付など必要な助成を行なってきた。
 これにより,施設等の整備がすすめられ,現在放同協により,東北,関東,関西および九州に設けた貯蔵所を中心に全国的な規模で放射性廃棄物の一元的な回収貯蔵,保管が行なわれている。
 一方,原研では,40年2月,アイソトープ事業部を発足させ,放同協回収分を含め放射性廃棄物の処理が行なわれている。
  2放射性固体廃棄物処理処分検討会

原子力開発利用は実用化の時期をむかえ,原子力発電所等より,かなりの量の放射性固体廃棄物が発生する見通しである。
 このため,これら放射性固体廃棄物処理,処分の具体的方策について検討する適切な時期にきたものと考えられるので,内外の動向等を十分に把握し,処理,処分のあり方,方法と今後行なう必要のある研究開発等の検討を行なうことを目的として44年9月に,放射性固体廃棄物処理処分検討会が原子力局に設置された。同検討会は,学識経験者等47名により,総括グループをはじめとして6分科会で組織され,審議を重ねている。
  3放射性廃棄物の処理,処分に関する研究

放射性廃棄物の処理,処分に関する研究については,44年度は,前年度に引続き原研,動燃事業団および放射線医学総合研究所(放医研)などにおいて,処理,処分技術の開発研究が行なわれるとともに,原子力平和利用研究委託費により,放射性廃棄物海洋投棄における廃棄物固化体からの放射性核種の溶出と環境での移動に関する試験研究が行なわれた。


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