§3 核燃料物質の使用にともなう安全対策
  1核燃料物質の使用許可および検査

 核燃料物質(300グラム以上のウラン,900グラム以上のトリウム,濃縮ウラン,照射済燃料ウラン233およびプルトニウム)を使用しようとする者は,原子炉等規制法にもとづき,内閣総理大臣の許可を受けなければならない。さらに,1グラム以上の密封されていないプルトニウムおよび100キュリー以上の使用済燃料を使用しようとする者は,保安規定の認可および施設検査を受けなければならない。
44年度末現在,これらの使用の許可を受けているのは103事業所であり,また,使用の変更にかかわる許可は109件にのぼった。このうち,2事業所が非密封プルトニウム1グラム以上を使用し,5事業所が100キュリー以上の使用済燃料を使用している。
 施設検査は,44年度,9事業所について行なわれたが,いずれも核燃料物質の使用に際し,その安全性が確認されているものと認められた。
 また,核燃料物質の使用許可を受けている施設は,その使用状況,核燃料物質の管理状況等について随時立入検査が行なわれており,44年度は29施設について行なわれたが,その使用状況はおおむね良好であった。
  2核燃料物質の加工事業許可および検査

核燃料物質の加工の事業を行なおうとする者,または変更しようとする者は,原子炉等規制法にもとづき,内閣総理大臣の許可をうけ,さらに建設工事の着手前に設計および工事の認可,工事の施行過程および完成時に施設検査,また,操業開始前には保安規定の許可をそれぞれ受けなければならないこととなっている。
44年度には,43年度に事業許可申請のあった2社について,42年5月に加工施設等安全基準専門部会が原子力委員会に報告した「加工施設の安全審査指針」にもとづき,加工施設の立地条件,事故および災害に対する安全性の解析,評価ならびに臨界管理等の検討が行なわれ44年5月までに2社に対し加工事業を許可した。
44年度現在,これらの許可をうけているのは7事業所,また加工事業の変更にかかわる許可を受けたのは4事業所である。
 設計および工事の許可は44年度,5事業所に8件の認可を行なった。
 施設検査は44年度,3事業所について行なわれたが,いずれも核燃料物質の加工に際し,その安全性を確保されているものと認められた。


目次へ          第4節へ