第8章 試験研究用原子炉の整備,運転

§1 研究用原子炉

 現在,わが国には,建設中のものを含めて,21基の試験研究用原子炉および臨界実験装置が設置されており(付録Vの1参照),それぞれの目的に応じ,整備,運転が行なわれているが,昭和44年度における主な事項は次のとおりである。
 わが国最初の原子炉である日本原子力研究所(原研)のJRR-1は,昭和32年8月以来,共同利用,運転訓練,実験などに用いられ,わが国の原子力開発に貢献して来たが,所期の目的を達したため,昭和43年度で運転を休止し,昭和44年11月から解体工事が行なわれている。なお,わが国最初の原子炉を記念するため,原型は保存されることになっている。
 国産1号炉である原研のJRR-3は,共同利用ラジオアイソトープの生産などが行なわれていたが昭和43年度に燃料の破損が発生したため,その原因の調査,対策の検討などが行なわれていた。調査の結果,燃料破損の原因が解明され,その防止の見通しがついた。また燃料破損により汚染された重水が精製され,破損燃料検出装置が整備された。昭和44年9月および昭和45年1月の2度行なった試験運転により,運転再開の見通しが得られ,また昭和45年3月,原子炉安全専門審査会において運転再開についての安全性が確認されたので,以後運転が行なわれている。
 原研の材料試験炉(JMTR)は,原子炉材料および燃料の照射実験を行なうことを目的として茨城県大洗町に建設されていたもので,昭和43年3月に臨界に達したが,その後炉プールおよびカナルの水洩れのため一部補修工事が行なわれていた。昭和45年1月補修工事はほぼ終了し,最大熱出力5万キロワットでの運転試験が行なわれた。また,付属関連施設の内,ホットラボおよぴ照射ルーブOWL-1は,ほぼ工事が完了し,最終的な検査を行なう段階である。
 同じく原研の動力試験炉(JPDR)は,昭和38年以来,原子力発電の運転経験の蓄積,炉特性の解析,国産試作燃料の照料試験などが行なわれてきたが,出力をこれまでの4万5,000キロワットから9万キロワットに上昇するいわゆるJPDR-II計画についての安全審査が終了して改造についての許可が44年9月に行なわれ,現在改造工事を行なっている。


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