§8 核燃料サイクルに関する調査検討

 動力炉開発の効果的な推進をはかるうえに,核燃料サイクルを構成する諸要因を調査解析し,さらにこれにもとづき,原子力発電体系に編入される動力炉の特性と核燃料サイクルとの相互関連を明らかにし,国内における適切な核燃料サイクルの確立に資するとともに,動力炉の具体的目標を設定することはきわめて重要である。
 このような観点から,科学技術庁原子力局では「動力炉開発に関する調査」として42年度より,長期的核燃料サイクルに関する調査検討をすすめてきた。
44年度は,43年度にひきつづき,在来型炉,新型転換炉,高速増殖炉等からなる原子力発電体系における経済性をも考慮した超長期核燃料サイクルに関するプログラムの改良を行い,高速増殖炉,新型転換炉等の導入時期,開発容量,各種炉型の技術的経済的諸特性が天然ウラン所要量,ウラン濃縮分離作業量,核燃料加工事業量,再処理事業量,プルトニウム蓄積量等核燃料サイクル関係諸量におよぼす影響について,多くのケーススタディーを行なった。
 これらの試算結果の一部は新型転換炉原型炉の具体的建設に関して新型転換炉の評価検討のため原子力委員会に設置された「新型転換炉評価検討専門部会」における検討資料として提供され,また,44年10月,イスタンブールで関催されたIAEA主催の「核エネルギーコストと経済開発」シンポジウムにおいて,「プルトニウム利用との関連における核燃料サイクルとその経済性」として発表された。
44年度においては上述の調査検討のほか,動力炉の経済性に影響をおよぼすプルトニウムに関し,その価値を分析し核燃料サイクルコストに。およぼす影響についての調査検討がすすめられた。


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