§7 プルトニウム燃料の研究開発

 プルトニウム燃料の研究開発は,高速増殖炉用燃料および新型転換炉用燃料については,動燃事業団が中心となり,それぞれのブロジェクトの一環として開発を進めており,44年度はこれらのプルトニウム・ウラン混合酸化物について前年度にひきつづき燃料設計に必要な物性データを得るとともに,プルトニウム燃料の照射後試験を行なうα―γケーブ(動燃事業団大洗工学センター)の建設を進めた。また高速増殖炉用燃料の照射に関しては英国のドンレー炉およびフランスのラプソディー炉での照射計画に参加している。
 一方プルトニウム燃料の軽水炉への利用についてば,核燃料の民有化,高速増殖炉の実用化の見通しとも関連して,その研究開発の推進が重要となっている。すなわち,現在米国原子力委員会の決めているプルトニウム買入れ価格(9.28 $ /gr)はプルトニウムをウラン―235と置き換えて軽水炉にリサイクルできるとした時の濃縮ウランに対する等価価値であるが,民有制のもとで,プルトニウムが実際にこのような価値をもっためには,動力炉での商業的なプルトニウムリサイクルが実現しなければならず,そのためには経済性にかなったリサイクル技術の開発が必要である。また,今後どもウラン資源の多くを海外から輸入しなければならないわが国においては燃料の有効利用の面からもプルトニウムの適切な利用をはかることは必要である。
 プルトニウム燃料の熱中性子炉への利用に関する研究開発については44年度は軽水臨界実験装置(TCA)によるプルトニウム燃料の格子実験が原研と動燃事業団との共同研究により進められた。
 また,動燃事業団ではノルウェーのハルデン炉によるペレット型およびゾルゲル振動充填型燃料集合体の照射試験を進め,45年3月,最高燃焼率はそれぞれ13000MWD/Tおよび7700MWD/Tに達した。この他,米国サクストンPWR炉による大型燃料集合体の照射計画が進められており,45年夏頃に照射が開始される予定である。
 一方,電気事業者でも米国において進められている,軽水型実用炉によるプルトニウム燃料の実証試験を最終目的とするEEI計画に参加している。


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