§6 使用済燃料再処理等
  1再処理の研究開発

 原研には,動燃事業団が計画している使用済燃料再処理工場の職員訓練と再処理技術の確立のため,再処理試験施設が設置されている。44年度は,43年度にひきつづき,再処理工場の要員の訓練が行なわれ,45年3月に終了した。
 また,原研では,フッ化物による乾式再処理に関する研究がひきつづき行なわれた。
 動燃事業団では,高速実験炉燃料の湿式再処理に関する研究が前年度に引きつづき行なわれたほか,低放射性廃液処理の試験研究が行なわれた。
  2使用済燃料の返還,再処理

原研のJRR-2および京都大学の原子炉に使用されている燃料は,米国政府から賃借しているので,これらの炉からとり出される使用済燃料は再処理をしたうえ,米国政府へ返還しなければならない。
 このため,原研では,44年8月に第6次返還,京都大学では,44年8月に第3次返還がそれぞれ行なわれた。返還量は,原研の第6次分が90%濃縮ウラン燃料要素24本,ウラン量で4キログラムであり,一方,京都大学の第3次分は90%,濃縮ウラン燃料要素9本,ウラン量1.6kgであった。
 また,日本原子力発電(株)は,英国原子力公社との契約による使用済燃料の引渡しを開始した。第1回目は44年8月,第2回目は44年10月に行なわれた。引渡し量は,第1回目はウラン量で約24トン,第2回目はウラン量で約30トンであった。
 さらに,45年5月には第3回目の引渡し約30トン(ウラン量)が行なわれた。
  3使用済燃料の輸送

再処理のための使用済燃料の輸送については,44年度末までに,原研および京都大学の研究炉の使用済燃料が米国に,それぞれ6回および3回輸送された。さらに,原電東海発電所の使用済燃料が2回にわたって英国へ輸送された。
 このように,使用済燃料の輸送の本格化にともない,これに関連する規則の整備,輸送手続の簡素化等の問題が検討されている。
  4わが国における再処理工場の建設

動燃事業団では,主に発電用原子炉からの使用済燃料を対象として,湿式ピューレックス法による処理能力1日当り約0.7トンの再処理工場を同事業団の東海事業所に建設することとしている。このため,昭和43年8月以降,内閣総理大臣から諮問を受けた原子力委員会は,再処理施設安全専門部会を設置して同工場の安全審査を行なっていたが同工場の安全性の確保について十分であるという結論に達したので,昭和44年11月にその旨内閣総理大臣へ答申を行なった。内閣総理大臣はこの答申に基づき,昭和45年1月,安全上支障がないものと認めた。
 この間,再処理工場の建設については,米軍の水戸射爆場の移転問題とも関連して地元の同意が得られない状況にあったが,44年9月,その返還について閣議決定がなされたのを機に,茨城県議会から設置を了承する旨の意向が表明された。
 同事業団は,予定される再処理施設周辺の海域について必要な調査研究をすすめ,昭和48年度完成を目途として45年度内に同工場の建設に着手することとしている。


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