第4章 核燃料

§1 概要

 原子力発電の開発利用の進展にともなって,わが国の核燃料需要ば,今後急速に増大するものと考えられる。原子力委員会は,このような情勢を考慮し,昭和年42度における「原子力開発利用長期計画」(長期計画)の改訂に際し,将来の原子力発電規模と,それに対するウラン所要量の見通しについて試算を行なった。これによれば,天然ウラン(U308)換算による累積所要量は50年度までに1万3,000トン,60年度まででは9万トンとしている。
 原子力委員会では長期計画で示した基本的な方針の具体化をはかるため,42年6月,核燃料懇談会を設置し,わが国の将来の核燃料政策のすすめ方について総合的に検討をすすめ,その方向を明らかにした。44年度は,特に海外ウラン資源の開発,ウラン濃縮の研究開発,使用済燃料再処理工場の建設等において大きな前進が見られ,わが国の核燃料サイクルの確立をはかる上で意義深い年であったといえよう。


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