わが国の経済発展にともない電力需要は急速に伸びているが,この傾向は今後も長期的に持続するものと考えられる。しかし,この需要を満たすために在来火力にのみ頼ることは,長期的にみて必ずしも好ましいことではない。このため,わが国では,米国や英国などから技術導入をはかり,原子力発電の開発を積極的にすすめてきた。特に米国で開発された軽水型発電炉は経済的,技術的な見通しをえ,これからの発電用原子炉として,わが国においても大きな役割を果すものと考えられており,原子力発電は将来の電力供給源として主要な地位を占めることが約束されつつある。
　このようなすう勢の中で,原子力委員会は42年度に改定した「原子力開発利用長期計画」(長期計画)において,昭和50年度未発電規模を600万キロワット,昭和60年度末3,000〜4,000万キロワットと見通し,その開発利用に積極的に取り組んできたが,現在の原子力発電開発のテンポはこれを上回る状況にある。

---

目次へ

第１節　２へ