§2 高速増殖炉の開発

  5ナトリウム工学

大洗において動燃事業団が建設をすすめてきたナトリウム流動伝熱試験装置が完成し,17トンのナトリウムが注入され,44年11月より運転が開始された。
 本装置は,わが国最大のナトリウムループであり,その建設および運転によって貴重な経験が得られている。さらに,使用範囲拡大のため,再生熱交換器,2000キロワット加熱器等の増設が近く行なわれる予定である。
 このほか,動燃事業団ではナトリウム機器材料の開発を行なうため,材料試験ループ,ナトリウム技術開発ループ等の建設を大洗においてすすめていたが,45年度前半から試験が開始されることになっている。

  6主要機器,部品の開発

動燃事業団では実験炉の主要炉体構成機器である遮蔽プラグ燃料取扱装置,制御棒駆動装置,炉内構造物等の試作試験を国内メーカーに委託しているが,それぞれ45年度に完成の予定で,各種試験を経て,46年度には大洗に建設中のナトリウム機器構造試験装置において,これら機器のナトリウム中の総合機能試験を行なうことにしている。また,これら大型機器の試作開発と併行して,ハイドロリックホールドダウン機構,燃料つかみ機構等の部分構造の研究開発が行なわれ,それぞれの機器の設計製作に反映されている。
 原型炉用構造機器としては,とくに早期に開発に着手する必要のある小型蒸気発生器(熱出力1,000キロワット)および試験装置の建設が着手された。また,重要課題であるナトリウム―水反応のメカニズムについての研究等が行なわれた。


  7計測制御,遮蔽研究

実験炉に使用する計測制御系機器について,動燃事業団では調査検討を行ない,炉内中性子検出器,破損燃料検出器,燃料チャネル流量計等の試作および特性試験を行なった。また,早期に開発が困難とみられる高温中性子検出器,サドル型流量計については,英国,米国より購入し,確性試験等が実施されている。さらに,実験炉の動特性解析等が,前年度購入したハイブリッド計算機を用いて実施された。
 遮蔽研究については,中性子減衰計算コードの開発が行なわれるとともに,高速炉遮蔽体の中性子透過実験,不規則形状の遮蔽についての解析および実験炉遮蔽プラグのストリーミング模擬実験が行なわれた。


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