§2 高速増殖炉の開発

  2実験炉「常陽」の建設

実験炉は,わが国で初めてのナトリウム冷却高速炉であり,その目的は設計,建設,運転を通じて,高速増殖炉に関する技術的経験を得るとともに,完成後は燃料,材料の照射施設として利用するものである。
 実験炉の設計については,動燃事業団は,原研が43年6月完成した第2次概念設計をひきつぎ,43年度に国内5社に委託して第3次概念設計を行なうとともに,実験炉ラプソディーの建設,運転経験を有するフランス原子力庁に設計の評価を依頼した。これらの結果をもとに,44年度当初より最終仕様を固めるための設計調整作業をすすめた。
 また,実験炉の建設に先立ち原子炉設置許可申請書を44年6月提出した。この申請書について原子力委員会の原子炉安全専門審査会により安全性の審査が行なわれた結果,同審査会は45年1月,同炉の安全性は十分確保しうる旨,原子力委員会に報告した。原子力委員会はこの報告にもとづき検討を行ない,同炉の設置が許可の基準に適合する旨,内閣総理大臣に答申し,この結果,45年2月内閣総理大臣により設置が許可された。
45年3月にいたり,動燃事業団は実験炉の機器の製作について,東京芝浦電気(株),(株)日立製作所,三菱電機(株),富士電機(株)の4社と契約を締結し,建設に着手することとなった。
 実験炉の主要仕様は,(第2-1表)に示すとおりである。


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