§2 高速増殖炉の開発

  1概要

 高速増殖炉は軽水炉や新型転換炉と異なって,主として高速中性子による核分裂反応を利用するとともに,消費された以上の核分裂性物質を生成する画期的なものであり,これによりウランが持つエネルギーをはるかに効率よく利用できる炉である。このため高速増殖炉は,核燃料の問題を根本的に解決する理想的な動力炉であり,将来の原子力発電の主流となるものと考えられている。
 動燃事業団は,先に述べた動力炉開発業務に関する基本方針および第1次基本計画にもとづき,プルトニウムとウラン混合酸化物系燃料を用いるナトリウム冷却型高速増殖炉の開発をすすめているが,現在のスケジュールによれば,高速実験炉「常陽」については,初期熱出力5万キロワット(目標出力10万キロワット)のものを48年度末に,高速原型炉「もんじゅ」については,電気出力30万キロワット程度のものを52年度に完成し臨界にいたらせることとなっている。このための開発計画の概要は(第2-1図)のとおりである。


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