§2 原子力知識普及活動

 昭和44年度における普及活動は,主として「原子力の日」の行事を中心として行なわれたほか,全国的な規模で広く一般に原子力平和利用に関する知識の啓発普及を行なう機関として(財団法人)日本原子力文化振興財団が44年7月に発足したことにより普及啓発活動が一段と強化された。
44年度における科学技術週間は,4月14日から20日まで開催され,この期間中に,原研,動燃事業団,放射線医学総合研究所(放医研)の施設が一般に公開されたほか,展示会,映画会等が各地で開催された。4月19日には「春の原子力フェスティバル」(原子力船船名発表会)が開催され,原子力第1船の船名は「むつ」と発表された。
10月26日の「原子力の日」の記念行事については,東京において,科学技術庁,通商産業省,運輸省,原研,動燃事業団,原船事業団,日本原子力産業会議および日本原子力文化振興財団の原子力広報連絡協議会を構成する8機関主催により「未来と原子力」と題してパネル討論会が開催されたほか,原子力船「むつ」の一般公開,全国各地における記念講演会等多彩な催しが行なわれた。
 また,第6回「原子力の日」記念行事の一環として,原子力広報連絡協議会を構成する8機関は,前年度にひきつづき高校生を対策として,原子力平和利用について正しい理解と深い関心をもたせるため文部省等の後援を得て,「私は家庭で原子力の平和利用についてこう話す」をテーマとして作文募集を行なった。この結果,全国各地の高校生から159点の応募があり,審査の結果14点が入選し,うち3点が最優秀作品として,3月26日に科学技術庁において科学技術庁長官賞の授与式が行なわれた。
 さらに,科学技術庁は,他の関連機関の協力を得て,次代を担う若い世代に正しい原子力の知識を普及するため,中,高校の教職員を対象として「原子力セミナー」を年2回全国各地で行なうとともに,理科担当教員を対象として放射線利用に関する講義と実験を内容とした「原子力実験セミナー」を年1回行なっているほか,都道府県および市町村の職員を対象として原子力開発に際して行政上必要な具体的知識の普及を目的とする「原子力行政セミナー」を年1回行なっている。
44年度においては,「原子力セミナー」は7月に佐賀市で第17回を,8月に高知市で第18回を開催した。受講者は第17回が212名,第18回が152名であった。「原子力実験セミナー」(第2回)は45年3月,放医研および原研RI研修所において開催され受講者は46名であった。「原子力行政セミナー」(第3回)は11月東京で開催され受講者は79名であった。
 このほか,科学技術庁原子力局および原研は従来から原子力に関する知識の普及活動の一環として,原子力委員会監修のもとに,原子力平和利用に関する映画を製作してきたが,44年度には,「くらしと原子力」が製作された。44年度までに製作されたわが国の主な原子力関係の映画は,付録Vの7に示すとおりである。


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