§5 調査団の派遣および留学生の受入れ

 1調査団の派遣

 昭和44年度原子力関係機関から諸外国に派遣された調査団は下記の通りである。
  (1)原子力プラントPC構造物調査団

 欧米において,大型原子力発電所の圧力容器および格納容器に採用され,その安全性ならびに経済性が確認されつつあるPC(ブレストレスト・コンクリート)の実態を調査するため,昭和44年6月28日から約1カ月問,米国,英国,フランス,ドイツおよびスイスに,日本原子力産業会議(原産)から25名が派遣された。
  (2)放射線産業利用調査団

 わが国の放射線化学の研究開発,とくに実用化の推進を図るため,すでに一部企業化し,産業構造の高度化と技術革新に寄与している欧米諸国の実情を調査することを目的として,昭和44年8月16日から37日間にわたり,ドイツ,デンマーク,英国,フランスおよび米国に原産から11名派遣された。
  (3)使用済燃料輸送専門調査団

 発電用原子炉より排出される使用済燃料の輸送問題等については,わが国においても,昭和47年ころより本格化することが予想されるところから,すでに相当な輸送実績を有する欧米諸国の輸送キャスクの設計,製造,法規等を調査することを目的として,昭和44年9月28日から約1カ月間にわたり,米国,イタリア,ドイツ,オーストリアおよびベルギーに原産から16名が派遣された。
  (4)欧州,アフリカ,ウラン資源調査団

 アフリカにおけるウラン資源事情を調査するため,昭和44年11月2日から3週間にわたり,フランス,イダリア,ニジュール,ソマリアおよびケニアに,原産ウラン資源開発委員会より16名が派遣された。
 なお,同調査団の調査結果にもとづき,海外ウラン資源開発株式会社が設立され,今後の海外ウラン資源の調査,探鉱開発,購入,販売を推進することになった。
  (5)NPTにともなう保障措置問題調査団

 NPTの発効および日本の同条約調印にともない原産は,保障措置に対する産業界の立場について,海外関係者の理解をひろめ,併せて関係各国の本問題に対する態度と実情を調査することを目的として,昭和45年4月11日より約2週間,西ドイツ,ベルギー(ユーラトム),フランス,オーストリア(IAEA),スエーデンおよび米国に11名を派遣した。


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