§4 核兵器不拡散条約(NPT)

 2保障措置制度に関する国内での検討

 わが国は,45年2月3日の条約署名に先立ち,条約が発効した後には,国際的保障措置制度の適用がわが国の原子力平和利用にとり,大きな問題となることを認識し,これまでの経験を勘案して合理的かつ効率的な保障措置システムとその適用のあり方についての考え方および具体的措置について検討を行なうため原子力局内に,保障措置システム検討会を設置した。本検討会は44年6月11日に第1回会議を開催し,その後検討を重ねた結果,同年9月に検討結果をまとめ報告書を提出した。
 報告書においては,保障措置の目的,適用の方法等についての基本的な考え方,アプローチの方法,今後の問題点,各種施設における保障措置の具体的適用にあたっての問題点,システム分析等についての検討の結果が示されている。
 ついで,45年2月の日本国政府の条約署名以後,次の如き諸施策がとられ,わが国の関係各方面において慎重に検討を行なっている。
  (1)保障措置問題連絡会の設置

 NPTの下における保障措置協定の締結および運用等に関し,関係各省庁の連絡の緊密化を図り,原子力平和利用に係る保障措置問題の適切な解決に資するため,科学技術庁,外務省,通商産業省の局長クラスからなる連絡会が設置された。
  (2)保障措置検討会の設置

 NPTの下における効率的,合理的な保障措置制度について検討するため,原子力局に学界,産業界および関係省庁の学識経験者からなる検討会が設置された。
  (3)保障措置室の設置

 NPTの署名に関連してますます増大する保障措置関係業務を効率的に推進するため,原子力局内に45年3月2日付けで保障措置室が設置された。
  (4)保障措置の技術開発

 原子力平和利用研究委託費等を通じて,効率的,合理的な保障措置制度の設定に資するための保障措置技術の開発の強化を図っている。
 さらに,わが国は,前述の如くIAEAの理事会等の場を通じて,わが国の立場についての主張を行ない,国際的に理解を深めさせている。


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