§3 二国間協力

  1米国

 相互の原子力事情に関する理解と協力関係の向上のため,45年3月第2回日米原子力会議が東京において開催された。わが国からは西田原子力委員会委員長はじめ20名,米国側からはシーボーク原子力委員会委員長はじめ9名が参加した。同会議においては,両国の原子力発電の将来見通しについて意見を交換し,原子力発電が今後の増大する電力需要にとって益々重要な役割を果すであろうことについて意見の一致をみ,この分野における両国の協力を継続しかつ強化することについて合意に達した。この点に関し,さらに核物質の需給について討議を行ない,米国原子力委員会からわが国にわが国の原子力発電計画に必要な相当量の濃縮ウランを追加供給するための所要措置を講じることについて合意に達した。さらに同会議においては,高速増殖炉,重水型炉,高温ガス冷却型炉,プルトニウムおよび重水の需要供給,原子力船に関する情報交換および相互訪問,保障措置技術に関する情報交換等広範な問題について意見の交換を行なった。
 また,日米両国政府間の技術協力の一環として両国の安全審査のメンバーにより原子炉安全性に関する日米専門家会議が44年12月ワシントンにおいて開催され,わが国から山田原子力委員会委員はじめ9名が参加した。会議では,原子炉の安全審査上の重要な問題について両国の経験をもととした卒直な意見交換がなされた。
 また,44年3月に調印された動燃-米国原子力委員会高速増殖炉に関する協力協定にもとづき,日米高速炉物理専門家会議が44年12月米国アルゴンヌ国立研究所において開催された。
 以上のほか,原子力委員会は,ワシントン大学教授L.トルマック博士を44年11月に招へいした。同博士は,原子力委員会,放射線医学総合研究所,京都大学,国立遣伝研究所等において意見交換または講演を行なった
  2カナダ

 カナダとの協力としては,従来から行なわれてきた日加原子力技術会議に代わり,第1回目の日加原子力会議が,44年6月23日および24日の両日,カナダのオタワにおいて開催された。同会議には,日本側から山田原子力委員会委員その他関係者7名が,カナダ側からはカナダ原子力公社総裁J・L・グレー博士ほか11名が参加し,両国における動力炉開発の現状と将来,重水問題,燃料加工問題,安全性規則の問題,保障措置問題等広範な議題について意見交換を行ない,相互の原子力開発利用についての理解と協力関係の増進に寄与した。
  3英国

 英国との協力については,第1回日英会議が44年6月9日および10日の両日にわたって東京において開かれた。同会議には,日本側からは木内原子力委員会委員長ほか15名が,英国側からは,J.M.ヒル原子力公社総裁ほか8名が参加し,両国における原子力開発利用の現状と将来,動力炉開発およびその安全性と立地問題,ウラン濃縮,プルトニウム問題,保障措置等多面にわたる議題について意見交換を行ない,高速増殖炉の分野における情報交換の継続強化および新型転換炉の開発に関する密接な協力の維持について合意するとともに,保障措置技術の開発についての情報交換についても検討を進めることについて意見の一致をみた。
 また,木内科学技術庁長官が,44年11月英国を訪問し,スミス技術担当国務大臣およびヒル原子力公社総裁と会談し,両国の原子力事情およぴ両国の協力につて意見交換を行なった。
 さらに,原研-英国原子力公社高速増殖炉協力協定にもとづく日英高速炉会議が44年12月東京において開催された。本会議においては,協力分野の拡大,動燃の協定当事者としての参加等の問題について意見交換がなされた。
  4フランス

 木内科学技術庁長官が44年11月フランスを訪問し,オルトリ産業科学開発大臣と会談した。その際,フランス側より原子力平和利用に関する政府間協定の締結の提案があり,前向きの方向で事務当局間で検討することとなった。その後,45年4月,オルトリ大臣が来日して西田科学技術庁長官と会談し,協定締結の交渉を開始することについて合意に達した。
 また,動燃―フランス原子力庁高速炉協力協定にもとづく第1回日仏高速炉会議が44年10月フランスにおいて開催され,動燃および産業界から参加した。
  5西ドイツ

 44年11月木内科学技術庁長官は,43年のシェトルテンベルク科学研究大臣の来日に対する答礼として西ドイツを訪問し,ロイシンク連邦教育科学大臣と懇談し,その際原子力平和利用面における両国の協力について意見の交換を行なった。
 また,動燃とカールスルーエ研究所との間に高速増殖炉についての協力が,また,原研とユーリッヒ研究所との間に高温ガス冷却炉について協力が具体化しつつある。
  6アジア,大洋州,その他

 原子力委員会は,44年度海外原子力関係招へい者として,アルゼンチン原子力委員会委員長0.A.キヒラルト氏およびインド原子力委員会委員長V.サラバイ博士を招へいし,両国の原子力事情,両国の協力問題等について意見交換を行なった。
 また,イスラエル原子力委員会委員長I.ドストロフスキー博士,オーストラリア原子力委員会委員K.F.オールダー博士,中華民国原子力委員会事務局長C.チェング博士,タイ原子力委員会事務局長スリスク博士,大韓民国原子力庁庁長安博士等が来日し,原子力平和利用面における協力について原子力委員会,科学技術庁原子力局等と意見の交換を行なった。


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