§2 環境放射能調査および対策研究

 環境放射能調査は,44年度においても,ひきつづき科学技術庁放射線医学総合研究所をはじめ,国立試験研究機関,都道府県衛生研究所,民間研究所等において,一般環境(大気,雨水,陸水,土壤,海水,海底土等),食品(野菜,牛乳,海産生物,日常食,標準食)および人体関係(骨,臓器,尿,血液等)について,(第10-1表)のとおり,測定および分析が行なわれた。

 これらの調査結果は,放射能対策本部から,44年11月,「環境および食品等の放射能汚染について」として発表された。
 前述のように,44年度においては,中共等の核爆発実験による放射性降下物のわが国への影響はなかった。
 このような状況のもとで,環境および食品の放射能水準は,横ばいもしくは低下の傾向を示している。しかし,今後とも,中共の核爆発実験等も予測されるため,放射能調査網を拡大し,地域別の特性に応じた綿密な調査を実施することは,わが国における放射能水準を把握するうえに極めて重要であるので,放射能対策本部としては放射能調査網の充実に留意しつつ関係機関と緊密な連絡をとり,放射能水準の把握につとめている。
 放射能調査対策研究は適切な放射能調査対策を実施するため,放射線医学総合研究所をはじめ国立試験研究機関等において,環境,食品,人体における放射性核種の挙動,汚染対策等について行なわれており,このほか,放射能調査対策研究委託費による研究として,44年度は「ストロンチウム―90の土壤蓄積量と食品等における濃度との相関に関する研究」を実施した。
 また,原子力局は,34年以来,わが国の環境放射能調査およびその対策研究等の成果について関係国立試験研究機関,関係都道府県衛生研究所,関係民間機関等の参加を得て,毎年「放射能調査研究成果発表会」を開催してきたが,44年度においても44年11月,第11回放射能調査研究成果発表会を開催した。本発表会において発表された論文は,付録Vの4に示すとおりである。


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