§6 放射性廃棄物の海洋放出

 原子力委員会は,41年7月,再処理工程から生ずる放射性廃棄物のうち,低レベル放射性廃液の海洋への放出に関し,再処理安全審査専門部会の 審査にもとづき再処理工場の安全評価に対する審査は行なうが,この基礎資料を得るために,低レベル再処理液の海洋への放出に関する調査研究を,41年度より開始するものとし,大学,国立試験研究機関,地元県,原研,動燃事業団等が協力して総合的に行なうものとすることとした。
43年度は,この方針にもとづき,動燃事業団において,低レベル放射性廃液の放出口付近の拡散状況,河川水の海水への希釈状況および海流,海況,拡散状況等について調査研究が原研等外部機関との協力のもとに実施された。
 また,放医研では,放射性物質の海岸生物への濃縮等の研究を行なうため,42年度より,茨城県那珂湊市に臨海実験場の建設をすすめていたが,44年3月,同実験場の完成をみ,海洋における放射性物質の食物連鎖に関する本格的な研究が開始されることとなった。
 このほか,国立の各試験研究機関では,放射性物質の海中における挙動および海洋生物による摂取,排泄,濃縮等の機構ならびにモニタリング等に関する研究が行なわれている。


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