§4 放射性同位元素の使用等にともなう安全対策

1 放射性同位元素の使用等の許可および届出

 放射性同位元素の使用等にともなう安全性については,「放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律」(放射線障害防止法)にもとづき,規制が行なわれている。すなわち,同法は,放射性同位元素や放射線発生装置を使用しようとする者,また,放射性同位元素の販売ならびに放射性同位元素または放射性同位元素によって汚染された物の廃棄の業を行なおうとする者に対し,許可または届出(密封された放射性同位元素の総量100ミリキュリー以下を使用する場合には届出)を義務づけている。
 これら使用,販売,廃棄の事業の許可にあたっては,事業所等の申請内容を検討し,使用,詰替,貯蔵,廃棄等の施設,取扱いなどについて同法に規定する許可基準等に適合しているか否かを審査したのち許可することとしている。
 また,放射性同位元素等の取扱いにあたっては,放射線取扱主任者の選任を義務づけ管理上の安全を期している。さらに使用等にあたっては,作業従事者の被ばく線量の測定,健康診断書,放射線障害防止上の基準を設けて放射線作業従事者の安全をはかっている。
 これらの事業所は,医療機関をはじめ研究機関,教育機関,民間企業等多岐にわたり,その数も年々増加しており,43年度は,115事業所が新たに許可され,また,11事業所から届出があった。この結果,43年度現在,許可1,275事業所,届出391事業所,合計1,666事業所となった。
 販売の業の許可を受けた事業所数は,43年度は,15事業所であり,合計60事業所となった。
 なお,廃棄の業の許可を受けた事業所は,43年度はなく,前年度と同様5事業所となっている。

2 放射性同位元素使用事業所等に対する立入検査

 放射線障害防止法では,同法または同法にもとづく命令の実施のため,科学技術庁長官は,必要ある場合には,放射性同位元素等の使用事業所等の使用施設,貯蔵施設等に放射線検査官を立入らせ,必要物件の検査等を行ないうることになっている。
 この規定にもとづき,使用事業所への立入り検査が毎年行なわれているが,43年度は392事業所について行なわれた。33年の同法施行以来の立入検査実施事業所数は,延2,824となった。


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