§3 核燃料物質の使用にともなう安全対策

1 再処理施設の安全審査

 原子力委員会は,再処理施設の安全性を審査するため,再処理施設安全審査専門部会を設置している。
 同専門部会は,動燃事業団が主としてガス冷却型および軽水冷却型動力炉からの使用済み燃料を対象として東海事業所丙に建設を計画している再処理施設の安全性について,43年9月から,施設関係グループおよび環境関係グループを設けて審査を重ねていたが,44年3月,原子力委員会に,同再処理施設の安全性は十分に確保しうる旨報告した。なお,同施設の建設については地元の反対があり,内閣総理大臣に答申するにはいたらなかった。
 また,同専門部会は,原研の再処理試験施設(変更)の安全性について,43年10月から審査を行ない,12月にその安全性は十分確保し得る旨,原子力委員会に報告した。これにより,同月,再処理試験施設は,内閣総理大臣からホット試験にかかわる核燃料物質の使用の変更について許可された。

2 核燃料物質の使用許可および検査

 核燃料物質(300グラム以上のウラン,900グラム以上のトリウム,濃縮ウラン,照射済燃料ウラン―233およびプルトニウム)を使用しようとする者は,原子炉等規制法にもとづき,内閣総理大臣の許可を受けなければならない。さらに1グラム以上の密封されていないプルトニウムおよび100キュリー以上の使用済燃料を使用しようとする者は保安規定の許可および施設検査を受けなければならない。
 43年度末現在,これらの使用の許可を受けているのは85事業所,また,使用の変更にかかわる許可を受けているのは79事業所である。このうち,2事業所が非密封プルトニウム1グラム以上を使用し,2事業所が100キュリー以上の使用済燃料を使用している。
 施設検査は,43年度,13事業所について行なわれたが,いずれも核燃料物質の使用に際し,その安全性を確保されているものと認められた。
 また,核燃料物質の使用許可を受けている施設は,その使用状況,核燃料物質の管理状況等について随時立入検査が行なわれており,43年度は39施設について行なわれたが,その使用状況はおおむね良好であった。

3 核燃料物質の加工事業許可および検査

 核燃料物質の加工の事業を行なおうとする者,または変更しようとする者は,原子炉等規制法にもとづき,内閣総理大臣の許可をうけ,さらに,建設工事の着手前に設計および工事の認可,工事の施行過程および完成時に施設検査,また,操業開始前には保安規定の許可をそれぞれ受けなければならないこととなっている。
 43年度には,42年度に事業許可申請のあった6社について,42年5月に加工施設等安全基準専門部会が原子力委員会に報告した「加工施設の安全審査指針」にもとづき,加工施設の立地条件,事故および災害に対する安全性の解析,評価,ならびに臨界管理等の検討が行なわれ44年5月までに6社に対して加工事業を許可した。


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