§4 原子力船の研究開発

 原子力船に関する研究については,原子力船が不規則な波浪中を航行するとき船体の動揺により異常に大きい加速度を生じ,これが原子炉の構造,性能,制御に重大な影響を及ぼす恐れがあるため,振動動揺加速度の異常値を予想してその対策を立てておく必要があるので,運輸省船舶技術研究所(船研)において,42年度に引きつづき不規則波発生装置による模型実験によって,動揺試験が行なわれた。
 軽水炉では,長振幅低周波のヒービングおよびローリングによるボイド発生,熱限界低下等の影響をうけることが考えられるが,これらの問題について研究を行なうため船研に建設中であった大型上下動揺試験装置が完成した。
 このほか船研では,原子力船の安全対策として,原子力船のしゃへい設計に必要な多重層しゃへい体および事故時の環境安全に関する理論的研究,船体構造模型によるガンマ線しゃへい効果の測定実験等が行なわれたほか,原子炉の格納容器を区画壁と効果的に組合せた舶用格納方式の開発のため,格納中型模型が製作された。
 また,軽水型舶用炉用内装貫流式蒸気発生器については,42年度に引きつづき,民間において,原子力平和利用試験研究委託費により,蒸気発生器の解析評価について試験研究が行なわれた。


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