§5 ウラン濃縮

 ウラン濃縮の研究開発については,遠心分離法および気体拡散法を中心として行なわれた。
 遠心分離法については,動燃事業団において3号機の設計製作が進められたほか,2号機を使用して周辺速度300m/秒の条件下で,アルゴンおよび6フッ化いおうの同位体分離試験が行なわれた。試験の結果,長期連続運転の見通しが得られるとともに分離特性がすぐれていることが確認された。また,44年5月,動燃事業団は,東京工業大学の協力により,ウラン濃縮実験に成功した。
 気体拡散法については,原子力平和利用委託費により住友電工(株)において各種材料による隔膜の試作研究が行なわれた一方,理化学研究所では,住友電工(株)の試作した隔膜のUF6に対する粗選定および耐食性試験が行なわれ,アルミナ製隔膜が耐食性,分離特性にすぐれていることが明らかになった。
 また,東京工大等では,遠心分離法,ガス拡散法,化学分離法等各種の方式について理論的あるいは基礎的研究が行なわれた。


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