§2 高速増殖炉の開発
1 概要

 高速増殖炉は軽水炉や新型転換炉と異なって,主として高速中性子による核分裂反応を利用する画期的なものであり,これによりウランの持つエネルギーがはるかに効率よく利用できる炉である。
 動燃事業団の動力炉開発基本計画によると,高速増殖炉の開発については,プルトニウムとウランの混合酸化物系燃料を用いるナトリウム冷却型高速増殖炉を開発することを目標として研究開発を進めるものとし,開発スケジュールとして,熱出力約10万KW程度の実験炉を48年度前半ごろ,電気出力20万KWないし30万KW程度の原型炉を51年度ごろ臨界に至らせることを目標としている。
 すなわち,その第1段階として,実験炉の建設を昭和44年度に着手し,高速増殖炉に関する技術を得るとともに,完成後は高速増殖炉開発の問題点の一つである燃料の照射施設として使用することとし,引き続き原型炉の建設を行ない,臨界に達せしめるものである。

 実験炉の設計については動燃事業団は第2次概念設計の成果にもとづき43年11月第3次概念設計を原子力5社に発注し,44年3月に終了した。
 この実験炉の設計および製作に資するため高速臨界実験装置(FCA)を用いた炉物理実験が行なわれているほか,ナトリウム流動伝熱ループの製作が44年後半から45年前半にかけての実験開始をめざして進められている。また,炉体構造物,およびその部分構造物の研究開発や,高速炉用集合体燃料の研究開発,これ等の燃料要素の照射試験の準備および実験の安全性評価の研究等が積極的に進められている。
 動燃事業団では,この基本方針および45年度までの第1次基本計画にもとづき,高速増殖炉の開発計画の概要を(第2-1図)のとおり作成している。


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