(付  録)
II 原子力委員会の計画および方針

2 昭和43年度核原料物質探鉱計画

(昭和43年3月19日)
決      定

 昭和43年3月19日内閣総理大臣は,核原料物質開発促進臨時措置法(昭和31年法律第93号)第3条第1項の規定により,以下のとおり昭和43年度核原料物質探鉱計画を決定した。
 昭和43年度核原料物質探鉱計画 昭和43年度における核原料物質の探鉱は,予算約2億円をもって前年度に引き続き,主として堆積岩地域を対象として行なうこととする。
 探鉱の実施にあたっては,通商産業省工業技術院地質調査所は,従来発見された放射能異常地域について補完的探査を行なうとともに,ウラン鉱賦存の状況について基礎的な調査を行なう。
 動力炉・核燃料開発事業団は,地質調査所の調査による有望地区に対して鉱床精査,科学探鉱,試すい探鉱等を実施して,効果的に国内ウラン資源の実態を明らかにすることとする。

1 地質調査所の行なう探査
 地質調査所は,前年度に引き続き,調査の十分でない一部の堆積岩地域に対して補完的探査を行,ない,ウラン鉱床の発見につとめるとともに,ウラン鉱床の成因に関する研究および堆積型潜頭鉱床に対する探査技術の向上に関する研究を行なう。

(1)放射能強度分布概査
(イ)カーボーン調査
 山口県山口市東部,下関市北部
(ロ)地質鉱床概査
 福島県東南部・三重,奈良県境,岡山県津山盆地等

(2)鉱床調査
 昭和42年度までの放射能強度分布概査の結果,岐阜県東濃地区,広島県三次北部等において,放射能強度の異常地が発見されており,ウランの賦存が広い地域に分布することが推定されているので,物理探鉱等による鉱床調査を実施して,地質状況のはあくおよび鉱床の賦存状況の調査を行ない,今後の探鉱に資することとする。

(3)探査技術の向上等に関する研究
 堆積型鉱床の賦存は,基盤の地質構造と密接な関連を有することが判明しているので,岐阜県土岐市南部,瑞浪市北部において,電気探鉱および重力探鉱により基盤の地質構造の解明に必要な技術を開発する。
 また,鉱床調査のため基礎的研究として,基盤岩の岩石学的研究ならびに堆積環境の地質学的,地球化学的研究を実施する。
 その他,阿武隈地域の代表的岩層について,ウランの賦存状況をはあくするため調査研究を実施する。

2 動力炉・核燃料開発事業団の行なう探鉱
 動力炉・核燃料開発事業団は,岐阜県東濃地区,山口県西部地区およびこれらの周辺において,主として試すい探鉱により既知鉱床の拡大と新鉱床の発見につとめる。
 また,福島県常磐地区,鹿児島県垂水地区,島根県出雲市南部地区等有望地区についても新鉱床の発見および鉱床追跡のため地表調査,科学探鉱,試すい探鉱等を行なう。

(1)東濃地区およびその周辺
 東濃地区において鉱量の増大をはかるため月吉,深沢等に賦存する鉱床について集中的に試すい探鉱を行ない鉱量のはあくを行なう。また,新鉱床の発見および鉱床追跡のため東濃地区近傍,長野県飯田地区等において地表調査,試すい探鉱等を行なう。

(2)山陰地区
 42年度までに,多数の鉱床露頭を発見した山口県西部,島根県出雲市南部,赤名峠周辺地区等において,新鉱床の発見および鉱床追跡のため地表調査,試すい探鉱等を行なう。

(3)人形峠周辺地区
 鉱床の形怠構造が明らかになりつつある人形峠東方の倉見地区において,鉱量のはあくに重点をおき,試すい探鉱等を行なう。

(4)その他の地区
 これまでの探鉱により,鉱床の賦存が確認されている鹿児島県垂水地区において試すい探鉱を行ない鉱量のはあくにつとめる。また,42年度に鉱床露頭が発見された福島県常磐地区等において新鉱沫の発見および鉱床追跡のため,地表調査,科学探鉱,試すい探鉱等を行なう。


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