第13章 その他の活動
§1 原子力知識普及活動

 昭和43年度における普及活動は,科学技術週問および「原子力の日の行事を中心として行なわれた。
 43年度における科学技術週間は,4月15日から21日まで開催されたが,この期間中,原子力関係では,日本原子力研究所(原研),動力炉・核燃料開発事業団(動燃事業団),放射線医学総合研究所(放医研)の原子力関連施設が一般に公開されたほか,展示会,映画会等が各地で開催された。
 10月26日の「原子力の日」の記念行事については,この日を中心として,全国各地において多彩な催しが行なわれた。東京において,「やさしい原子力教室」と題して記念講演会が開催され,また,来場者のうち抽せんにより希望者150名を翌26日に東海村原子力施設見学会に招待したのをはじめ,全国17都市において,講演会,映画会,さらに原子力産業展,原子力施設見学会等が開催されたほか,新聞,テレビ,ラジオ等においても,原子力に関する各種の企画が掲載,放送された。
 また,第5回「原子力の日」記念行事の一環として,科学技術庁,通商産業省,運輸省,原研,動燃事業団,日本原子力船開発事業団(原船事業団)および日本原子力産業会議(原産)の原子力広報連絡協議会を構成する7機関は,文部省等の後援を得て,「原子力平和利用への期待」をテーマとして高校生の作文募集を行なった。これは,原子力平和利用に関する作文を募集することにより,高校生に原子力に対する関心を深めさせるとともに,作文作成の過程において原子力知識の消化吸収がはかられることを目的として行なわれたものである。
 この結果,全国各地の高校生から751点の応募があり,審査の結果16点が入選し,うち8点が最優秀作品として,3月26日,科学技術庁において科学技術庁長官による賞状授与の表彰式が行なわれた。さらに,42年度にひきつづき,科学技術庁は,通商産業省,運輸省,自治省の後援を得て,地方自治体の職員を対象として,43年11月,第2回「原子力行政セミナー」を開催した。第1回同様,約80人の受講者があった。
 科学技術庁は,従来から中学校および高等学校の教職員を対象に,原子力について基礎的な知識の普及をはかる目的で,文部省の後援および都道府県教育委員会の協力を得て,「原子力セミナー」を開催してきたが,43年度には,7月に青森市で第15回を,8月に熱海市で第16回を,それぞれ開催した。受講者は両回合計200名であった。
 また,科学技術庁は,文部省の後援を得て,高等学校および高等専門学校の教職員を対象に,放射線利用に関する講議と実験を内容とした第1回「原子力実験セミナー」を44年3月,放医研で開催した。受講者は30名であった。
 このほか,科学技術庁原子力局および原研は従来から知識の普及活動の一環として,原子力委員会の監修のもとに,原子力平和利用に関する映画を制作してきたが,43年度には,「自然と原子力」が制作された。43年度までに制作されたわが国の主な原子力関係の映画は,付録IV-15に示すとおりである。


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