第12章 原子力関係技術者の養成
§1 国内における養成訓練

1 日本原子力研究所

 日本原子力研究所(原研)では,原子炉研修所およびラジオアイソトープ研修所において,原子力関係技術者の養成訓練が行なわれている。このほか,動力試験炉(JPDR)を用い,原子力発電関係の技術者の養成が行なわれている。
(1)原子炉研修所
 原子炉研修所には,一般課程,高級課程およびJPDR運転訓練課程が設けられている。一般課程は,昭和34年度に開設され,大学理工科系を卒業し,現在原子力関係の研究もしくは業務等に従事しているか,または将来従事しようとする者に対し,原子力利用技術に関する一般的知識を修得させることに主眼を置き,講義,実験,実習,演習等により原子力関係の諸知識を広く理解させることを目的としている。
 高級課程は,同じく34年度に開設され,大学理工科卒業後,原子力関係の各分野において,もっぱら,各自の専門的研究をより深くすすめようとする者に対し,東海研究所内の研究室の一部を利用させることによって,各自の専門的研究の成果向上に寄与することを目的としている。
 JPDR運転訓練課程は,42年度に新たに開設され,原子炉施設の運転,管理等の業務に従事する高校卒技術系職員の養成訓練を行なうことを目的としている。
 一般課程,高級課程およびJPDR運転訓練課程の定員,受講者数,研修期間は,(第12-1表)に示すとおりである。
43年度までの受講者合計は,一般課程506名,高級課程57名およびJPDR運転訓練課程42名である。

 これらの課程を受講した研修生の内訳は,付録IV-9に示すとおりである。
(2)ラジオアイソトープ研修所
 ラジオアイソトープ研修所には,基礎課程,高級課程および専門課程が設けられている。
 基礎課程は,32年度に開設された。43年度は,8回の基礎課程が開かれたが,このうち第72回課程は,IAEAコースで外国人を対象として実施された。
 基礎課程の定員,受講者数,研修期間は,(第12-2表)に示すとおりである。

 なお,43年度までの受講者数の合計は,外国人171名を含め2,436名である。
 高級課程は,35年度に開設され,指導的立場に立つ中堅技術者の養成訓練を目的としている。
 高級課程の定員,受講者数,研修期間は,(第12-3表)に示すとおりである。

 なお,43年度までの受講者数の合計は,外国人4名を含めて167名である。
 専門課程は,38年度に開設され,とくに要望の多い部門のコースを設け,実験を主体としている。専門課程の種類,定員,受講者数,研修期間は,(第12-4表)に示すとおりである。

 なお,43年度までの受講者数の合計は516名である。
 このほか,ラジオアイソトープ研修所には,特殊課程が設けられ,外国人1名ないし2名に対し,3ヵ月ないし6ヵ月にわたり,その能力に応じて研修が行なわれている。
 以上の課程を受講した研修生の内訳は,付録IV-10に示すとおりである。

2 放射線医学総合研究所

 放射線医学総合研究所(放医研)では,34年度に養成訓練部が発足して以来,次の研修課程が設けられ,養成訓練が行なわれている。
 放射線防護短期課程は,35年度に開設され,放射線の業務に従事し,または従事しようとする者に対して,放射線防護に必要な物理学,化学,生物学および医学の基礎知識ならびに実務上必要な技術を修得させることを目的としている。
 放射線利用医学短期課程は,37年度に開設され,放射線および放射性同位元素を臨床上応用している者,または将来応用しようとする者に対し,これに必要な基礎理論および技術ならびに防護に必要な知識と技術を習得させることを目的としている。
 放射性薬剤短期課程は,39年度に開設され,放射性医薬品製造,供給,管理等の業務に従事し,または将来従事しようとする者に対して,放射線防護の見地から,基礎理論と技術を修得させることを目的としている。
 RI生物学基礎医学短期課程は,40年度に開設され,放射性同位元素を基礎医学およびこれに関連する生物学,生化学等の分野の研究に利用し,または将来利用しようとする者に対し,これに必要な基礎理論および技術ならびに放射線の防護に必要な知識と技術を習得させることを目的としている。
 以上の定員,受講者数および研修期間は,(第12-5表)に示すとおりである。

 なお,43年度までの受講者数の合計は,放射線防護短期課程570名,放射線利用医学短期課程239名,放射性薬剤短期課程100名,RI生物学基礎医学短期課程44名である。
 以上の課程を受講した研修生の内訳は,付録IV-11に示すとおりである。

3 大学

 原子力関係の科学者および技術者の養成に関して,大学の果すべき役割はきわめて大きい。このため,各大学においては,原子力関係の学科,講座の設置および実験設備等の拡充が行なわれている。
43年度現在,原子力関係の学部学科を有する大学は,北海道大学,東北大学,東京大学,名古屋大学,東海大学,京都大学,大阪大学,近畿大学,九州大学の9大学である。これらの大学の定員の合計は356名であり,43年度の.卒業生は174名で,これまでの合計は1,317名である。
 なお,大学別の定員および卒業生数は,付録IV-12に示すとおりである。
 このほか,東京工業大学,武蔵工業大学,立教大学等にも,原子力関係講座が設けられている。
 また,東北大学,東京大学,東京工業大学,京都大学,大阪大学および立教大学の各大学院には,原子力関係専攻課程が設けられている。

4 その他の機関

 雇用促進事業団の運営による茨城県総合職業訓練所の原子力工業科は,原子力中級技術者養成を目的とし,37年度に開設された。同科には,ラジオアイソトープ利用,原子燃料製練,原子炉運転の3コースが設けられており,その定員は30名,訓練期間は2年である。同科は,44年3月,第6回卒業生17名を出し,43年度までの卒業生の合計は,82名となった。
 また,民間においても,電力業界の要請で,原子力発電関係の技術者の養成を目的として,43年3月,日原子力発電(株)に原電研修コースが開設された。同研修コースには,東海研修所で行なう基礎研修コースと運転要員研修コース,敦賀建設所で行なう建設要員研修コース,本店で行なう本店業務研修コースが設けられており,その定員,受講者数および研修期間は付緑IV-14に示すとおりである。


目次へ          第12章 第2節へ