第11章 国際協力
§1 国際機関との協力

1 国際原子力機関(NAEA)

 わが国は,国際原子力機関(IAEA)には,その創設以来,理事国として参加し,その活動に積極的に協力してきている。

(1)第12回総会
 IAEA第12回総会は,昭和43年9月加盟国およぴ国際関係機関等75ヵ国参加のもとにウィーンにおいて開催された。
 核兵器の不拡散に関する条約(NPT)の推奨決議案が,6月,国連総会において採決され,7月1日には同条約は署名のために開放され,8月に非核保有国会議が開催された直後でもあり,本総会においては,大多数の参加加盟国が,同条約第3,4,5条との関連において,IAEAの役割の重要性を強調した。
 わが国代表は,一般演説において,原子力委員会の策定した長期計画にもとづいて主要な研究開発計画を披露し,また,先進国を対象とするIAEAが行ない得る役割および低開発国を対象とする活動について述べ,さらに,核不拡散条約との関連においてIAEAが果すベき役割の重要性を強調した。
 本総会では,とくに,8月にジェネーブで開催された非核保有国会議におけるIAEAに関する討議にもとづき,核爆発平和利用の問題およびIAEA理事会構成の問題が討議された。
 本総会で承認されたIAEAの1969年度経常予算は,1,125万ドル,運営予算は,251万ドルであり,そのうち,わが国の経常予算の分担金は,約38万6,000ドル(分担率3.43%),任意拠出金のIAEA当局によるわが国に対する要請額は,68,600ドルである。

(2)IAEA事務局機構の一部改正
 イ 保障措置査察局を2部に分け,運営部と開発部とした。
 ロ 技術援助局を出版・技術援助局とし,出版業務が含められた。
 なお,保障措置査察局の初代開発部長は,わが国から派遣された。

2 欧州原子力機関(ENEA)

 わが国は,40年2月,ENEAに準加盟として加入し,41年からその諸活動に参加している。
43年度の参加状況は,ENEAの3事業の一つであるハルデン計画に原研が参加しているほか,サクレーにある中性子データ編集センターおよびイスプラの計算機プログラムライブラリーに日本原子力研究所(原研)が参加している。わが国からも専門家を派遣し,参加していた食品照射に関するサイベルスドルフ計画は,43年12月をもつて終了した。
 このほか,わが国は,ENEAが主催する各種の研究委員会,スタディグループに参加しているほか,運営委員会にはオブザーバーとして出席している。
 なお,43年10月にはENEA事務局次長ウイリアムズおよびENEA顧問コワルスキー教授が来日し,わが国とENEAとの協力関係について懇談した。

3 国際連合原子放射線の影響に関する科学委員会(国連科学委員会)

 第18回国連科学委員会は,43年4月8日から17日までの間,ニューヨークの国連本部において開催され,わが国も代表を派遣した。会議は,物理班と生物班の2班に分かれ,とくに生物班は,神経系に及ぼす放射線の作用,人体細胞における放射線による染色体異常の誘発について討議した。


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