§2 海外における原子力開発利用の動向
2 核燃料所要量の増加

 このような世界的な原子力発電の進展とともに,各国における核燃料需要量も急速に増大することが予想され,ウラン資源の確保と生産設備の増強に対する関心が国際的に高まってきた。欧州原子力機関(ENEA)と国際原子力機関(IAEA)の専門家グループによる,1969年(44年)1月に公表された合同報告書によると,世界の天然ウラン所要量は,現在の原子力発電の伸びから推定して,炉型にもよるが,1970年(45年)における1万8,500ショート・トンから1975年(50年)には年間4万4,000ないし5万9,000ショート・トン,1980年(55年)には7万3,000ないし10万6,000ショート・トンと見こんでいる。これに対し,当面のウラン年間生産力は3万8,000ショート・トンであり,これは,1973〜1974年(48〜49年)に想定される年間需要量に対応しており,その後における生産力と需要量のバランスを持続するためには,この時点までに生産設備を増強する必要があると結論している。
 このような事情から,英国はすでにカナダとウランの長期購入契約を締結しているが,フランス,ドイツにおいては積極的な海外探鉱が行なわれており,また,米国においても国内で活発な探鉱活動が再開されるにいたっている。


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