§1 国内における原子力開発利用の動向
7 活発化した国際協力

 わが国において,原子力開発利用の効率的な推進をはかるうえに,有効な国際協力を行なうことは,きわめて有意義であり,このため,わが国は,国際原子力機関(IAEA)を中心とする多国間協力をはじめ,二国間協力についても積極的な努力を払ってきた。
 とくに,日米,日英の両原子力協力協定については,42年度に,有効期限が迫った事情もあり,新たな情勢に即応するよう改訂が行なわれたが,43年7月および10月に,それぞれ有効期限30年として発効するにいたった。
 これらの協定にもとづき,まず,第1回の日米原子力会談が,43年7月,ワシントンにおいて開催され,また,同じく第1回の日英原子力会談も,44年6月,東京において開催され,日米,日英両国間の原子力の分野における相互理解が深められた。また,43年9月,ドイツ連邦共和国のシュトルテンベルク科学研究大臣が来日し,日独両国間の協力に新たな前進がみられ,さらに,10月には,欧州原子力共同体(EURATOM)のヘルピック副委員長が来日し,意見の交換が行なわれた。このほか,カナダ,フランス等の各国との間にも,情報の交換,技術の交流が積極的にすすめられ,国際協力は一層活発化した。
 なお,43年7月には,「核兵器の不拡散に関する条約」が署名のために放され,同条約に示された保障措置の技術的実際的諸問題に各国の関心が表明され,新たな国際的課題として,注目されるようになった。原子力の研究,開発,利用を平和の目的にのみ限って推進しているわが国としては, 43年2月,原子力委員会が明らかにした見解のごとく,同条約がいささかも平和利用の発展を阻害することのないよう保障措置の具体的諸問題の解決がはかられることが,この際,強く要望されるところである。
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