§1 国内における原子力開発利用の動向
6 安全対策の充実

 以上のような原子力開発利用,なかんずく原子力発電の進展に対応して,安全対策の一層の充実をはかるため,原子力委員会は,さきに,原子炉施設安全問題懇談会を設置し,軽水炉に関する安全基準,高速炉等に関する安全審査などについて,検討を行なったが,43年8月,同懇談会の報告が提出された。原子力委員会は,この報告にもとづき,原子炉施設の安全審査における諸指針の整備をはかる等のため,43年10月,動力炉安全基準専門部会を設置し,同専門部会は,43年12月からその審議を開始した。また,44年2月には,使用済燃料再処理施設等から生ずる放射性廃液の海洋放出に際しての障害防止に関する考え方について,内閣総理大臣の諮問にもとづく放射線審議会の答申が行なわれた。原子力委員会は,これにもとづき,さらに検討をすすめる一方,研究開発の推進とこれに必要な施設の整備をはかった。
 なお,動燃事業団における再処理施設の安全性について,原子力委員会は,44年3月,再処理施設安全審査専門部会から十分確保し得る旨,報告を受けた。しかし同施設の建設について地元の反対があり,同意を得られていない事情にかんがみ,その設置の許可を内閣総理大臣に答申するにいたっていないが,早急に解決する必要がある。


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