IV本文参考資料

8原子力潜水艦ソードフィッシュ号の寄港中に観測された異常測定値についての検討結果(報告)

(☆昭和43年5月27日/専門家検討会報告☆)科学技術庁長官 鍋島直紹殿
 専門家検討会 山崎文男
 原子力潜水艦ソードフィッシュ号の佐世保寄港中に,5月6日午前モニタリングボートによって測定された異常値の発生原因について行なった検討の結果を別紙のとおり報告する。
 なお,検討作業は下記のとおり進められ,この間3名の専門家による現地調査,および米国から派遣された3名の専門家からの事情聴取を行なった。
 記
(1)専門家
 山崎文男
岡野真治
渡辺博信
庄司大太郎
宮永一郎
(以下第4回検討から)
向坊 隆
村主 進
宇田道隆
浜口 博
都甲泰正
(2)現地調査団
岡野真治
宮氷一郎
渡辺博信
(3)米国側専門家
W.W8cgner 米国原子力委員会海軍用原子炉部次長
W.Givens 米国原子力委員会海軍用原子炉部員
M.Miles      "
(4)開催した検討会
第1回検討会 昭和43年5月9日
現地調査   昭和43年5月10日〜昭和43年5月12日
第2回検討会 昭和43年5月12日
第3回検討会 昭和43年5月13日
第4回検討会 昭和43年5月15日
第5回検討会 昭和43年5月16日(一部米側出席)
第6回検討会 昭和43年5月17日(  "  )
第7回検討会 昭和43年5月22日(")
第8回検討会 昭和43年5月25日(  "  )
第9回検討会 昭和43年5月27日
 別紙
 原子力潜水艦ソードフィッシュ号の寄港中に観測された異常測定値についての検討結果(報告)昭和43年5月6日,佐世保港においてモニタリングボートにより測定された異常値の原因として,放射能による原因と,放射能以外の要因による原因とについて検討した。
1 放射能以外の原因を究明するため5月10日より3日間現地において調査,実験を実施したが,放射能以外によるものとする疑問はほとんど解消した。
 したがって,今回の異常測定値は放射能によるものと考えるのが妥当である。
2 ソードフィッシュ号以外の放射線源については,常識的に考えられるいくつかの原因について検討したが,異常測定値の原因となるものは見あたらなかった。したがって,ソードフィッシュ号から何らかの放射性物質の放出があったとの疑問を深めるに至った。
3 この疑問を解明するためには,海水中の放射性物質の核種を確認するとともに,5月6日の異常測定値を合理的に説明しうる科学的な根拠を見出す必要がある。
 放射性物質の核種については,異常測定値が得られた直後の海水が採集されていないため,その確認を行なうことができなかった。
 また,今回の異常測定値の原因を解明するために,ソードフィッシュ号からの放射性物質の放出とそれに関連する諸事項について米国側に多くの質問をしたが,軍機に触れる点が多かったため科学的な解明に役立つデータの提供を受けることができなかった。
4 したがって,今回の異常測定値は放射能によるものと考えるのが妥当であり,またその放射能の原因について種々検討したが,科学的にそれをソードフィッシュ号によるものと確認するには至らなかった。
 追記 米国側からは自らの調査の結果として,ソードフィッシュ号は今回の佐世保港寄港中,放射性物質は一切放出しなかったことを確認したとの報告があり,特に,一次冷却水は工作艦の電源を用いて定格温度に保っていたことの説明がなされた。
 この報告を裏付ける科学的説明および資料については軍機に触れるものとして提供されなかった。


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